……秘密があります
 


 仕事に戻った羽未は頼まれていた備品を載せたキャリーカートを押しながら、さっき通った渡り廊下をまた通っていた。

 帯刀に連れ込まれた倉庫をチラと見る。

『その三つがなんなのか。
 これからじっくりお前にわからせてやる』
という帯刀の言葉を思い出し、

 ……なんだかわからないが怖いな、と思っていた。

 総務の仕事は重い荷物を抱えることもあって大変だが、社内をぐるぐる回るのでやせられる。

 いいと言えばいいんだが。
 喉乾いたな。

 備品を配り終えた羽未はキャリーカートを廊下の隅にある自動販売機の側で止め、ジュースを買おうとした。

 だが、お金を入れた瞬間、商品がガシャン、と落ちてきた。

 横から誰かが勝手にボタンを押したようだ。
< 24 / 256 >

この作品をシェア

pagetop