……秘密があります
 見ると、おしるこが下に出てきている。

 いや、私は喉が乾いたんだが、と思いながら、またお金を入れると、また横から手が伸び、勝手にボタンを押す。

 おしるこが落ちてきた。

 またお金を入れると、またガシャンと。

 そこで、
「待て」
と言ったのは羽未の方ではなかった。

 横から勝手に押している人物の方が文句を言ってきた。

「お前は莫迦なのか」

 途中でやめろ、と言ってきたのは、帯刀《たてわき》のライバル、上杉士郎《うえすぎ しろう》だった。

 いや、帯刀が彼をライバルだと思っているかは知らないが、少なくとも、士郎の方は思っている。

「シロさん」

「……その呼び方もやめろ。
 犬みたいだから」

 いや~、でも、昔みたいにシロだと余計に犬みたいなんだけど、と思いながら、羽未は屈んでおしるこを三本取り出す。
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