私立秀麗華美学園
その後も、雄吾のおかしな態度は続いた。
もともと無口だってのに、何を話しかけても上の空。他の人間から、ただ単に話を聞かない失礼な奴だと思われはしないか心配だ。
そしてこの前、俺は見てしまった。
雄吾が、あの雄吾が……昼飯を、学食の自販機の、カップラーメンのみで済ませているところを……!
信じがたいことに、弁当(ほとんど毎朝俺の分まで手作り)を、部屋に忘れたらしい、
あの健康ヲタクが……何を思ったか知らないが、栄養素もへったくれもねえ食事を摂っていたのだ。
おかしいおかしいとは思っていたが、ここまでくると尋常でないことがわかった。
その日も雄吾のことを考えつつ、俺は寮へ戻った。
「……ハッキングか……?」
そこには見慣れた光景があった。
雄吾の指が音速でキーボードの上を駆けまわり、パソコンの画面には細かい数字が散らばっている。
「いや」
俺が帰ってきたのを知ると、雄吾は体をこちらへ向けて、ふうと息を吐き出し、眼鏡をサイドテーブルに置いた。
長い間画面を見続けていたらしく、眉間に片手をやる。似たようなポーズの彫刻があったが、雄吾の憂い顔ならこのまま彫刻にだってできそうだ。
俺は丁度いい機会だと思い、近頃の雄吾について、尋ねてみることにした。
「なあ。あのさあ、お前、最近」
「わかっている。ほっておいてくれ。変だと言いたいんだろう。自覚はあるんだ」
言って雄吾は、革張りの肘掛椅子に体をもたせかけた。ぎしりと軋むような音が、雄吾の疲労具合を想像させる。
しかしそんな言い方をされては、何も言うことがなくなってしまった。
「でも、咲とゆうかも心配して……咲が、笠井兄に絡まれた日から、お前」
「ああそうだよ。いらついてるんだ。あいつのおかげでな」
雄吾は言葉を止め、体を起こして前傾姿勢になると、再び眉間に手をやった。
「……お前には、話しておくとするか」
深く息を吐き出した雄吾に、俺は稀に見る真剣な顔を向けた。
もともと無口だってのに、何を話しかけても上の空。他の人間から、ただ単に話を聞かない失礼な奴だと思われはしないか心配だ。
そしてこの前、俺は見てしまった。
雄吾が、あの雄吾が……昼飯を、学食の自販機の、カップラーメンのみで済ませているところを……!
信じがたいことに、弁当(ほとんど毎朝俺の分まで手作り)を、部屋に忘れたらしい、
あの健康ヲタクが……何を思ったか知らないが、栄養素もへったくれもねえ食事を摂っていたのだ。
おかしいおかしいとは思っていたが、ここまでくると尋常でないことがわかった。
その日も雄吾のことを考えつつ、俺は寮へ戻った。
「……ハッキングか……?」
そこには見慣れた光景があった。
雄吾の指が音速でキーボードの上を駆けまわり、パソコンの画面には細かい数字が散らばっている。
「いや」
俺が帰ってきたのを知ると、雄吾は体をこちらへ向けて、ふうと息を吐き出し、眼鏡をサイドテーブルに置いた。
長い間画面を見続けていたらしく、眉間に片手をやる。似たようなポーズの彫刻があったが、雄吾の憂い顔ならこのまま彫刻にだってできそうだ。
俺は丁度いい機会だと思い、近頃の雄吾について、尋ねてみることにした。
「なあ。あのさあ、お前、最近」
「わかっている。ほっておいてくれ。変だと言いたいんだろう。自覚はあるんだ」
言って雄吾は、革張りの肘掛椅子に体をもたせかけた。ぎしりと軋むような音が、雄吾の疲労具合を想像させる。
しかしそんな言い方をされては、何も言うことがなくなってしまった。
「でも、咲とゆうかも心配して……咲が、笠井兄に絡まれた日から、お前」
「ああそうだよ。いらついてるんだ。あいつのおかげでな」
雄吾は言葉を止め、体を起こして前傾姿勢になると、再び眉間に手をやった。
「……お前には、話しておくとするか」
深く息を吐き出した雄吾に、俺は稀に見る真剣な顔を向けた。