私立秀麗華美学園
「断るわけにいかないのなら、依頼を受ければいいだけよ。告白、させておいて、雄吾に残酷な言葉で断ってもらえばいいわ」


いや別に普通の言葉でよくないか。


「あかんってそんなん!」


咲はがばっと顔を上げた。


「承諾するかもしれんやん!」

「するわけないわよ。今まで雄吾がどれだけ咲のこと……」

「昔は昔やん! なんか知らんけど、今雄吾に避けられてるのは確かやもん。……そうや、雄吾があいつのこと、好きになってもーたからかもしれへんやん!」


咲は1人でパニック状態だ。聞く耳持たない咲を、ゆうかと俺はなだめようと必死になる。


「絶対あかん!」

「あのなあ、雄吾があんな奴のこと……」

「姫解除される!」

「そんなわけないでしょう、咲」

「あーもう! いややあー! やっぱちょっとクラス戻ってみる!」

「ちょっ、咲……」


言い終わる前に、咲はC組の方向へと走り去った。


「今、雄吾は部活だって……」

「無鉄砲にもほどがあるわね」


ゆうかは呆れ顔でため息をついた。


「にしてもこじれるなあ」

「わたしは、咲と雄吾が別れるなんて、絶対嫌よ。考えられない。何があっても、2人には仲直りしてもらう」


ゆうかが言うと、不可能なことなんて何もないような気になる。

もちろん俺としても、あの名物カップルが崩れていくのを、黙って見ているわけにはいかない。

ゆうかが誓った言葉を、俺は胸の中で繰り返した。
< 116 / 603 >

この作品をシェア

pagetop