私立秀麗華美学園
「わかんねえなら教えてやんね」
「言いたくないなら、別に構わないがな」
雄吾はどうでもいいという風にため息をつき、よっこらしょと腰をあげた。
ベッドに座りなおし、目を伏せる。
「……俺は、間違っているか?」
「え?」
「もし、お前が俺の立場だったら、どうする。俺は、固過ぎるから」
雄吾は真剣に、自分の頑なさが正しいのかどうか、断定しかねている。
自分は間違っているか、などと雄吾に問いかけられたのは、初めてのことだった。
「それは、実際なってみないと、わかるもんじゃねえと思うけど……」
かけたい言葉を見つけられない。
いつも雄吾は、俺の質問や悩みに本気で頭働かせて、一緒に考え、悩んでくれた。
こんな時、自分の幼さが歯痒い。
その時ふっと、俺の小さな脳みそに、前に雄吾が言ってくれた言葉が蘇った。
「――恋愛感情を持った人間は」
「え?」
「利己主義であって当然だ」
意表を突かれた様子で、雄吾は俺を見た。
「前に、雄吾が言ってくれた。俺が笠井とのことで、悩んでた時。自分が大事、自分の気持ちが最優先って。自己中心的で、いいんじゃねえのかよ」
記憶の糸を手繰るように、雄吾は宙を見つめ、そして、微笑んだ。
やっぱ、自分の発言には責任持ってもらわねえと。
「……そうだったな」
雄吾は立ち上がり、かけていた眼鏡をはずした。
「いつもとは、正反対だ」
「たまには恩返ししねえと」
目を合わせ、微笑を交わす。
「善は急げっていうだろ。咲のところ、行ってこいよ。ゆうかと食堂にいるはずだから」
「善の字も書けないような奴に、言われるとはな。……そうだな、行ってくる」
そう言うと、雄吾はいつもの調子で部屋を出て行った。
いつもの余裕をもった、大人びた姿の雄吾に戻ってくれて、俺は嬉しかった。
でもな、俺。
善の字ぐらい、書けるから……。
「言いたくないなら、別に構わないがな」
雄吾はどうでもいいという風にため息をつき、よっこらしょと腰をあげた。
ベッドに座りなおし、目を伏せる。
「……俺は、間違っているか?」
「え?」
「もし、お前が俺の立場だったら、どうする。俺は、固過ぎるから」
雄吾は真剣に、自分の頑なさが正しいのかどうか、断定しかねている。
自分は間違っているか、などと雄吾に問いかけられたのは、初めてのことだった。
「それは、実際なってみないと、わかるもんじゃねえと思うけど……」
かけたい言葉を見つけられない。
いつも雄吾は、俺の質問や悩みに本気で頭働かせて、一緒に考え、悩んでくれた。
こんな時、自分の幼さが歯痒い。
その時ふっと、俺の小さな脳みそに、前に雄吾が言ってくれた言葉が蘇った。
「――恋愛感情を持った人間は」
「え?」
「利己主義であって当然だ」
意表を突かれた様子で、雄吾は俺を見た。
「前に、雄吾が言ってくれた。俺が笠井とのことで、悩んでた時。自分が大事、自分の気持ちが最優先って。自己中心的で、いいんじゃねえのかよ」
記憶の糸を手繰るように、雄吾は宙を見つめ、そして、微笑んだ。
やっぱ、自分の発言には責任持ってもらわねえと。
「……そうだったな」
雄吾は立ち上がり、かけていた眼鏡をはずした。
「いつもとは、正反対だ」
「たまには恩返ししねえと」
目を合わせ、微笑を交わす。
「善は急げっていうだろ。咲のところ、行ってこいよ。ゆうかと食堂にいるはずだから」
「善の字も書けないような奴に、言われるとはな。……そうだな、行ってくる」
そう言うと、雄吾はいつもの調子で部屋を出て行った。
いつもの余裕をもった、大人びた姿の雄吾に戻ってくれて、俺は嬉しかった。
でもな、俺。
善の字ぐらい、書けるから……。