私立秀麗華美学園
少し経ってから、俺は着替えを済ませ、食堂へ降りて行った。
雄吾は大丈夫だろうか、などと考えながら、いつもと全く逆の立場に思わず苦笑する。
変なプライドとかが邪魔してるからなあ、あいつは。

とにかく階段を降り、いつもの2人に戻っていることを期待しながら、ドアマンが開けてくれた扉を超え、食堂へ足を踏み入れる。


……おかしい。


変だ。変だ変だ変だ。
3人の姿は、いつもと同じテーブルにあった。しかし、何の声も聞こえてこない。
どれだけ人が多かろうとも、いつもなら咲の笑い声か怒る声か、とにかく咲のでかい声が、入った途端に聞こえるはずなのに。

ということは、まだ仲直りしていないのか?

心臓に手をあてながら、3人のもとへ近寄った。


「なんすか、この空気」


近づいたそこには、暗雲が立ち込めていました。
つーか、え、何本当この空気。酸素少ねえよな完全に。気まずいどころか息苦しい。


「あ、和人……」


激しくテンションの低い、ゆうかの声がした。
ひどい頭痛がする時のように両手で耳の上のあたりを覆い、引きつった笑みを浮かべている。

そしてそのすぐ隣に、椅子の上に体育座りをした咲、テーブルを挟んで向かい側に、同じく体育座りの雄吾の姿があった。
咲と雄吾は、お互いに背を向けて座っている。

その様子は異様としか言いようがなく、周りで生徒たちがひそひそとささやき合っているのが聞こえる。無理もない。


俺は暗雲の中心部付近に、おそるおそる近づいた。


「……ゆーごくーん?」

「何用だ」


黙らっしゃい。
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