私立秀麗華美学園
その後はまた元の状況に逆戻り。
ただ雄吾が咲を無視することはなくなったが、よそよそしいままである。

咲の方はというと、雄吾を無視するなんてことはなかったが、言葉のひとつひとつを嫌味ったらしく言っていて、俺から見ても大人げなさが半端じゃない。
雄吾だからこそ、言い返すこともなく黙っていられるのだろうが。

そんな気まずい状況が続き、俺たち4人の関係も崩れかけてきて、2週間ほど経った日のことだった。


「水は六甲産か四万十産のどちらがよろしいでしょうか?」

「宣伝用のチラシは2000枚ほど用意しましたわ」

「企画自体の安全性に関しては、執行部の許可がおりました」


例の妙な企画の方はなぜか滞ることなく進んだ。

全学年が学園祭に向けて素晴らしい意欲を見せている中、うちのクラスの大勢の女子が、仕事の報告なんかをするため笠井につめかけていた。
笠井の方もこの前の一件からようやく機嫌が直ったらしい。


「水はそうだな……国産に限定されるのかな? もっと広い視野で、思い切って外国産なんかどうだろう。
広報係は仕事が早いね。その調子でポスターの方も頼んだよ。
早々に執行部の許可がおりてよかったよ。伍木さんのおかげだね。
あ、それから花嶺さん、少し頼みたいことが……」


一息にそういうと、笠井は穏やかに微笑んで見せた。
そうでなくても一心に笠井を見つめる女子たちは、ますます目が釘付けになった。


「ばっかみたい」


ゆうかの台詞かと思った人は不正解。
今になって初登場、真二の姫の馬渕未樹である。


「未樹は笠井に対して、ほんとシビアだなあ」

「だって真二しか見えてないしー」


ご覧の通り、円滑なお付き合いをされているようで。
俺としては、羨ましい限りなもので。
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