私立秀麗華美学園
「で、何の用だ」

「何って、客なんだから注文に決まってんだろ」

「そうですかそうですかご注文でしたらこちらのメイドにお言いつけくださいませ」


咲を示しながら早口にそう言ってすかさず立ち去ろうとした雄吾の腕をつかみ、なんとか引き留める。


「もー、そんなに恥ずかしがらなくたっていいじゃない」


雄吾の正面に回り込み、じろじろと眺めながらゆうか。
雄吾はため息をつき、諦めたように俺たちのテーブルの上へメニュー表を置いた。


「言っておくが、この髪や服装は、好きこのんでやっているわけではない。普通に着替え終わって教室へ入ったところ、咲をはじめとする生徒たちが俺にむらがったと思ったら、次の瞬間にはこうなっていた」

「みんなで言うとってん。一回雄吾を本気で飾り立ててみようって」


するとその作戦は、大成功を収めたとしか言いようがないだろう。

雄吾を見ていると、名札に気がついた。雄吾、と書いてある。源氏名のようなものだろうか。そしてその横に金色の星のシールが3つついていた。


「その星は?」

「ナンバー1の、あ、か、し」


咲が含み笑いで答える。咲の名札には2つだった。なるほど、ランク付けか。

雄吾がナンバー1ホスト……いや、執事だった。やべえ、今目の前に冷たい視線で俺を制す本人が立っていなければ、俺は果てしない愉快さに堕ちて、笑い続けていたかもしれない。


「するなら早く、注文をしろ」

「はいはい」


俺とゆうかは咲に勧められ、洋食セットを頼んだ。雄吾はやけくそになってばか丁寧な口調で注文をとっていた。
それが終わると、終始にやついていた咲と共に、雄吾はため息をつきながら戻って行った。
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