私立秀麗華美学園
――――


「おーい、長い昼寝だな。そろそろ起きろよ」


そんなような雄吾の台詞に、俺は起こされた。

飛び起きて、声のした方を見る。雄吾はいつものように勉強机の前に座っていた。勉強用のめがねを取り出したところだったらしい。
やけに帰ってくんの早かったな……と、思考をぐるぐるさせていると、徐々に意識がはっきりしてきた。まさか、と思って、時計を確認する。


「ご、ご、5時半ー!?」

「その驚きよう、一体何時から寝ていたんだ」

「さ、さあ……朝飯食って、それから寝てた」

「……へえ」


へえって。せめてつっこんでくれよ。
にしても寝過ぎた。これがテスト期間ならば珍しいことではないが、昼間にここまで眠り込むことはそうそうなかった。


「10過ぎに寝たとしても、7時間睡眠か。あー、体中いてえー」

「朝はゆうかと会っていたんじゃなかったのか?」

「あー、なんか珍しく、ゆうかが眠たそうでさ。帰って寝るっつってたから、俺も寝た」

「あのな、お前の行動要因はゆうかしかないのか」

「基本的には」


雄吾は苦笑いを見せてから、めがねをかけてパソコンを開いた。雄吾だって、俺の返事はわかりきっているのだ。

あくびをしながらベッドを降り、自分が何かを握っていることに気付く。


「……あー」


危うく忘れるところだった。ほら、一見無意味なこのちっぽけな依頼料が、役に立つこともあったじゃねーか。


「雄吾、今って、何にも依頼受けてなかったよな」

「ああ、そうだな。ホームページのメールフォームを閉鎖しているからな。特段理由があるわけではないが」

「なんか、直接依頼受けちゃってさ」

「直接?」


数秒キーボードを叩いたあと、中指で大袈裟にエンターキーを打ち、雄吾は椅子を回転させて俺の方を向いた。

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