私立秀麗華美学園
「……つまりだな、今回お前が依頼を届けた花鳥風月には、現在活動人員が一人しかないないという現状なわけで……」


真二の部屋を訪ねると、都合のいいことに相部屋の生徒が外出中だったため、俺は部屋に上がり込んで事のあらましを説明した。
今朝と比べ、オーラの暗さを含めて全く逆の状況である。


「残念なことに、その一人が俺なんだよ」

「な、なるほど……それは確かにちょっと残念だなあ」


そんなにはっきり言わなくても。
俺は出してもらった日本茶をすすりながら肩を落とした。
にしてもなぜ真二の部屋で、日本茶とようかんが出されているのか、俺は今の現状こそを理解できていない。


「ところで、お前、和菓子好きだったっけ」

「あ、ああ、最近ちょっとな」


真二は嘘をつくのが下手だ。
焦り気味な返事をしたあとで、何の前触れもなく口笛を吹き始めるこの様子を見れば、いくら俺にだって、嘘をつかれたことぐらいわかる。むしろ気づいて欲しいのかっていう。
でも、なんかかわいかったので追及はしないでやることにした。


「で、どうする? 依頼取り消してもらっても構いませんけど」

「いや、いいや。和人に頼む! 花嶺さんの騎士やってるぐらいなんだから、こんな依頼和人にとっちゃ取るに足らないもんだろ」


自分以外の人間にとってのゆうかの位置づけがわからなくなってきた。


「いや、正直、自信もくそもない状態で……」

「大丈夫だってー。よし、今回は和人に任せる! よろしくよろしくー」


言いながら、真二は手を振っていた。つまり、さっさと退出しろということだろうか。ああもう、人間ってわかんねえ。


「任せる人間選べよな」

「よろしくー」


真二があまりに機械的に手を振ってくるので、俺はぶつくさと文句を言いながら、真二の部屋を出た。
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