私立秀麗華美学園
「そうだよなあ……実際、鳥居の真似しても全然ダメだったし。未樹には俺を好きになってもらわないと、意味ないんだなあ……」


どうやらちゃんと、俺の言葉は真二に届いていたようだった。


「ってか、そんなことまで言えるのに、なんで本人の和人は……」


真二が片目をちらりと開いて俺を見てきたので、


「思想と言動が一致すれば、苦労してねえよ」


片方の口角だけを上げてふっと呟くと、真二が感慨深げになるほど、と頷いた。


「よし、やめよう! 俺やめる! 鳥居の真似なんかもう一生してやるもんか!」


たったの10分であれだけ料理道具を散らかせた時点で辿り着いてもよかった結論だとは思ったが、よしよしと俺も頷いて見せた。


「……そういえば、和人も同じ立場になったとか言ってたよな、さっき」

「ああ、ちゃんと聞こえてたのか」

「わかってないって何なんだ? あ、まさか、鳥居に心変わりしたこととか……!? いや違う、未樹に限ってそれはないはずだ。未樹だって俺のこと好きなんだから」

「そこまで言えてもあれだけ騒ぐのかよお前」

「未樹の好きな人は俺だけでいいんだよ!」


真二の意外な独占欲の強さが明らかになったところで、再び俺は、真二と馬渕を俺たちに似てるなんて考えたことを後悔した。ああくそ悔しい。


「とにかくだな、和人のおかげでわかった。未樹は何か俺にわかって欲しいことがあるってことだよな。それじゃあそれが何かわかればきっと、未樹の機嫌も直るはずだ!」


真二はガッツポーズを決めて立ち上がった。


「和人! 一緒に頑張ろーぜ!」

「……そうだな!」


もはや慣れっこな状況ではあったが、真二の勢いに圧されて俺も立ち上がった。


「姫の機嫌を、直すんだ…………!」




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