私立秀麗華美学園
――――

「なんやあ、またそーゆー話ー?」


大まかなことを話し終わると、咲はつまらなさそうな顔をして、ばたりとベッドに倒れ込んだ。


「悪かったな……」

「和人ー、何回ゆうかの機嫌わるしたら気が済むんー?」

「まあそう言ってやるな。彼も彼で大変なんだ」


代名詞での言い回しに妙に腹が立ったので、ふん、と拗ねてうしろを向いた。


「あ、拗ねた。和人が拗ねた」


うしろで咲が起きあがった気配がする。どうせ口元に手を当てて、によによ笑いをしているのだろうと簡単に予想はつく。


「ってゆーかさあー、和人、ほんまにわかってないわけ?」

「……え?」


咲の言葉に思わず振り向くと、咲は雄吾のうしろで膝立ちになって、雄吾の背中にぴったりくっつき、肩越しに俺を見ていた。
ああもうなんなんだこいつら! 密着するな暑苦しい!


「今の聞いたら、ゆうかの言ったことの意味、誰でもわかると思うねんけど」

「誰でもは言いすぎだ。現に、わかってない、残念な男が目の前にいるのに」

「残念だよ、ああ残念だよ俺は。ってか、2人ともわかったのかよ……」


がっくりと肩を落とす。だが落ち込んでいる場合じゃない。すぐさま顔を上げ、咲に教えを請おうとすると、そんな俺を制するように咲は言った。


「……言っとくけど、教えへんで?」

「ええ!? な、なんで……?」


ちょっと目を伏せて、咲は「んー……」と言った。雄吾は、そんな咲の動向を見守るように何も言わず黙っている。


「あたしの考えやけどさ、一応和人のためかな。ゆうかに直接聞いて大丈夫やと思うで。やからさっさと聞きに行きー」

「との仰せだ。さっさと行け、姫の元へ」


腑に落ちない答えだったが、2つの視線に、半ば追い出されるようにして、俺は部屋を出た。
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