私立秀麗華美学園
『そ、そうろうって何、和人、どんだけ下手に出たら気がすむの……!?』


ゆうかは笑っていた。やっぱりむせた後らしくて、ちょっと辛そうに笑っていた。


「え? あ、す、すいません」

『けほっ、あははっ、また謝ってる。あーあ、ちょっとごめん。豆乳飲みながら受話器持ってたんだけど、和人が変なこと言うから、むせちゃった』

「豆乳? そういえばこの間もなんか、白い豆乳のパン食べてたっけ?」


そんなブーム来てたっけ、と、最近見たテレビを思い返してみる。思い当たるような情報は何もなかった。ゆうかは未だに笑っていた。


『そうだよ、食べてたよ。で、今も豆乳飲んでるし、ここのところはそんな感じ。私が変なこと、気づいてたんだ』

「……で、そこ止まりなわけです」

『ああ、そういうことか』


ふふふ、とゆうかは笑って、紙パックの飲み物を飲みきる音がして、楽しそうに言った。


『当ててみてよ。わかんないから困ってるのはわかってるけど』

「見当もついてないんだってー」

『じゃあヒント。この間の日曜の私の昨日の朝食』

「コーンフレークとフルーツとアセロラジュース?」

『うわあ、そこまで覚えられてんのは予想外』

「だ、大体いっつも同じだろ!」


ゆうか本人にまでストーカー扱いをされては涙が出そうなので、慌てて返事をする。


『普段は私、バターロールとかサンドイッチとかが多いよね?』

「だよなあ」

『ええー、それでもわかんないのおー? だめだね、これだから男は。っていうか和人は』


いい加減面倒くさそうな声色になってきたので焦りを覚え、精一杯頭を回転させたつもりなのだが、それでもやっぱりわからなかった。これだから俺は。


「わか、りません……」

『しょうがないなあ』


受話器からはため息が聞こえたが形だけみたいなものだった。証拠にゆうかはまた笑い声を立てる。


『私、今ね』

「はい」

『ダイエット中なの』

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