私立秀麗華美学園
「……なんか和人、やつれてねえ?」


ある日の昼休み、馬渕が委員会の仕事だったため、俺は真二と教室で昼食を摂っていた。


「もしかして、ダイエット一緒に続行してるとか」

「んなわけあるかい」


俺がてきとうにつっこみを入れると、真二はゆうかの席の方を見た。本人は昼休みが始まるなり教室の外へ出て行ってしまっている。


「でもさあ、花嶺さんも最近ちょっと、やつれたって程ではないけど、疲れたような顔してる気がするんだよなあ」


それは本当だった。もともとどこにも削るべきところなど存在しなかったスタイルなのだから、それも当然のことだ。


「未樹はやめたのに、なんでダイエット、してんだろうなあ」

「それは俺が一番聞きてえよ……」


ため息をもらし、頬杖をつく。

結局あれから馬渕はダイエットをやめていて、最近は反動のように機嫌がいいのだという。夏には海に行く約束も取り付けられたそうだ。
馬渕が言っていた「行けたらね」は、「痩せられたらね」という意味だったらしい。


「今回長いな、和人たちの不仲状態。いっつも和人が謝って終わってる気がするけど」

「……謝って終わり、は、たぶん、今回はないと思う」


確かにいつもなら、そろそろ俺がゆうかにこれでもかって程謝ったりして、硬直状態に終止符を打っていていい頃だったかもしれない。

でも、あの日、あれだ、気象庁が梅雨明けを発表した日だ。あの日以来俺は、今度こそちゃんと考えようと思って、いつもの数十倍ゆうかのことばっか考えてた。


「雄吾や咲に教えてもらったりするのは、もう終わりだ。そんな気になったから、今回は、馬鹿みたいに平謝りしたり、変に拗ねたりするのも、やめようと思って」


視線を上げると、真二は箸をくわえたまま固まっていた。
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