私立秀麗華美学園
「かっ……」

「か……?」


真二は眉根を寄せて、半泣きみたいな表情になった。


「和人、成長したなあ……!」

「……真二に言われるとは、思わなかったけど」


真二は俺の肩をぽんぽんと叩いてきた。やたらと嬉しそうな表情をされて、こっちがどうしていいかわからなくなる。


「そうかあ。和人、2年になってから、どんどんどんどん変わってってる気がするなあ。成長だなあ。青春だなあ」


じじくさいことを言って、真二はうんうんとうなずいた。俺は苦笑いをして「どうも」と答える。


「でも和人がいつもの数十倍花嶺さんのこと考えるって、それ絶対脳みその容量超越してるよな」

「その分勉強のこととかがぽんぽん抜けてってるからいいんだよ」

「よくねーよ」

「……でももはや、考えすぎて、ゆうかがダイエット止めない理由とかじゃなくて、人間と人間の関係とか、哲学的な領域にまで達してるよ」


和人なら悟りも開けそうだな、と言って真二が笑う。

本当にこれは真面目な話、考えすぎて頭おかしくなりそうというかなってるかもしれない。こんだけ1人の人間のこと考えられる俺の集中力。いつも思うがどうして勉学の面で発揮されることがないのだろう。


「ま、前から思ってたし、前から言ってたけどさあ」


真二が両手を合わせて「ごちそうさまでした」と呟く。今日は愛妻ならぬ愛姫弁当だったらしい。


「和人って、花嶺さんのこと考えすぎだよな」


弁当を丁寧に包み直す真二の手元を、ぼんやり眺める。

実際何度も言われたことのあることだった。真二にも、雄吾にも、咲にも、兄ちゃんや姉ちゃんにも。
そんな言葉がなぜか今日は、強く脳裏に焼きついて離れなかった。


”和人って、花嶺さんのこと考えすぎだよな”





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