私立秀麗華美学園
「へえ。何が」

「………………」


あれ?

何をだ?


「なんだその表情は」

「いや、ごめん……ちょっと待って」


わかったと言った手前、対象がわからないですむはずもない。

あれ? 考えていたことはひとつ。確かだ。でも、それによってわかったことってなんだ? わかるというか、思いついた? つかんだ? 気がついた? 要するに、だ。


「……この現状を、打破する方法……?」

「打開策か」


雄吾は笑って、床にかばんを下ろした。興味深そうに俺を眺めまわす。


「ゆうかのことを、考えていたのか?」

「いや、それがちょっと違うんだ」


真二の言葉で気づいたこと。
少しずれていた思考の方向を、向くべき方向に戻した時に、考える対象となっていたのは。


「考えてたのは、自分のことだ」

「そうか」


雄吾はキッチンの方へ行くと、戸棚から、見たことのない容器を取り出した。


「なんだそれ」

「この間咲からもらった。咲とゆうかが、いつも飲んでいるハーブティーだそうだ。季節的にアイスがいいだろう。考えていたことがそういうことなら、聞きごたえがありそうだ。じきに咲も来るから、それから話せ」


雄吾はポットに飲料水をだばだばと入れ始めた。俺は、食卓に座って、大人しく咲が来るのを待つことにした。

< 200 / 603 >

この作品をシェア

pagetop