私立秀麗華美学園
顔を上げてみると雄吾と咲は、温かい微笑みを浮かべていた。


「……それで、正解なのだろう」


雄吾と咲は目を見合わせ、またひとつ笑みをもらす。そして同時に俺に視線を戻す。


「そもそも正解だとか不正解だとか、俺たちが言えた立場ではないがな。お前がそういう風に考えて出した答えなのだから、間違っているはずがない」

「うんうん。やっぱりあたしもそう思うしな。だって普段の和人、ひくほど腰低かったし、下僕とか言うてささやかれてんのもしゃあないよなあて思てたもん」


……俺、下僕とか言われてたんだ。うすうす感づいてはいたが、周りの目も完全にそうだったのか。それなりに衝撃だ。


「大した成長だな。少し前のお前なら、まず見つけられていなかった答えだ」


雄吾の言葉にここ数か月のことを振り返る。
俺が成長しているとするなら、それはそのまま俺たちの関係の成長のはずだと思った。
成長、つまり、前進。


……卒然と、いてもたってもいられない衝動がこみ上げてきた。


「部屋に、いるか?」


俺は咲に向かって尋ねた。


「ゆうか? 部屋にはおらんよ。私服に着替えて、ジャージ入れたかばん持って寮出て行ったから、たぶん体育館の方にあるジムに行ったんやと思う」

「わかった。ありがとう」


グラスの中身を飲み干して席をたつ。
ドアノブに手をかけた時、雄吾の声が聞こえた。


「頑張れ月城和人」


おう、と低く返事をしてからドアを閉め、俺は寮のロビーへと走った。


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