私立秀麗華美学園
階段から続く大広間には、既に淳三郎氏がふんぞり返って座っており、向かいに置かれた革張りのソファーに親父と母さんが並んで腰をおろした。
一年ぶりの我が家だが、特に変わった様子はなかった。
家具のレイアウトも同じだし、調度品の趣味も変わっていない。親父の好きなアンティーク系と、母さんの愛する白くて華奢なお姫様系。どちらが気に入って購入したものかは一目瞭然だ。
壁紙も変わらないし、インテリアの絵画も――と思って部屋を見渡していると、右手の壁一面を、明らかにおかしなものが覆っていた。日本画、っていうか浮世絵だ。
見覚えがないということは、たぶん、今回の招待で、贈り物として持参されたのだろう。もちろん犯人は淳三郎氏だ。
LOVE JAPAN の精神は大変結構だが、あのサイズはない。どう考えても非常識だ。
「お部屋に行っていらっしゃい。ゆうかちゃんの部屋も、準備しておいてもらってるからね」
母さんに言われるまま、部屋へ向かった。
ゆうかが泊まることになっている部屋と俺の部屋は、広間と同じ階にあり、少し離れている。
ゆうかもうちのことは勝手がわかっているので、それぞれ別れて部屋へ向かう。
使用人に会うたび言葉を交わしながら、毛足の長い絨毯の敷かれた廊下を歩いていくと庭園の見える側に、俺が中等部の頃から1人で使っていた部屋がある。
使っていたとは言っても、中等部からは学園の寮に入っていたので、寮の部屋で過ごした時間の方が圧倒的に多い。
だが我が家の中で、兄ちゃんにも姉ちゃんにも(基本的には)侵害されない、心休まる場所としてとても大切な部屋でもある。
ドアが細く開いていたのでそのまま押し開くと、部屋の中央に長身を紺色のスーツに包んだ男の姿があった。
「みのる!」
男は長い手足を動かし、優雅な動作で振り返った。
「ぼっちゃま。お帰りなさいませ」
彼は俺の世話係の使用人、村松稔だ。
何しろ俺が初等部に通っていた頃から世話になっているので一番付き合いが長い。
年も30代に突入してまもない頃と若いこともあり、みのるには世話人というより本物よりも頼れる兄ちゃんみたいな感じで接してきた。
一年ぶりの我が家だが、特に変わった様子はなかった。
家具のレイアウトも同じだし、調度品の趣味も変わっていない。親父の好きなアンティーク系と、母さんの愛する白くて華奢なお姫様系。どちらが気に入って購入したものかは一目瞭然だ。
壁紙も変わらないし、インテリアの絵画も――と思って部屋を見渡していると、右手の壁一面を、明らかにおかしなものが覆っていた。日本画、っていうか浮世絵だ。
見覚えがないということは、たぶん、今回の招待で、贈り物として持参されたのだろう。もちろん犯人は淳三郎氏だ。
LOVE JAPAN の精神は大変結構だが、あのサイズはない。どう考えても非常識だ。
「お部屋に行っていらっしゃい。ゆうかちゃんの部屋も、準備しておいてもらってるからね」
母さんに言われるまま、部屋へ向かった。
ゆうかが泊まることになっている部屋と俺の部屋は、広間と同じ階にあり、少し離れている。
ゆうかもうちのことは勝手がわかっているので、それぞれ別れて部屋へ向かう。
使用人に会うたび言葉を交わしながら、毛足の長い絨毯の敷かれた廊下を歩いていくと庭園の見える側に、俺が中等部の頃から1人で使っていた部屋がある。
使っていたとは言っても、中等部からは学園の寮に入っていたので、寮の部屋で過ごした時間の方が圧倒的に多い。
だが我が家の中で、兄ちゃんにも姉ちゃんにも(基本的には)侵害されない、心休まる場所としてとても大切な部屋でもある。
ドアが細く開いていたのでそのまま押し開くと、部屋の中央に長身を紺色のスーツに包んだ男の姿があった。
「みのる!」
男は長い手足を動かし、優雅な動作で振り返った。
「ぼっちゃま。お帰りなさいませ」
彼は俺の世話係の使用人、村松稔だ。
何しろ俺が初等部に通っていた頃から世話になっているので一番付き合いが長い。
年も30代に突入してまもない頃と若いこともあり、みのるには世話人というより本物よりも頼れる兄ちゃんみたいな感じで接してきた。