私立秀麗華美学園
「うっわあ……また、相当増やしたな、親父」


キエー、キエー、とほとんど騒音に近い、鳥たちの鳴き声は、記憶の中のものより随分大きくて騒々しかった。1年以上ぶりなのだから、それも仕方がないといえば仕方がない。


「そうですねえ……坊ちゃまご不在の間、宏典様がこの部屋の改造費を含め、鳥たちに費やした額を考えますと……外車が3台、じゃあ、おさまらないでしょうね」

「ったく、あんのアホ親父」

「いいじゃない。うちみたいに、子供やその婚約者にまで趣味おしつけてくるわけじゃないんだし」


半ば自嘲的な言葉を漏らすゆうかと共に、みのるについて鳥部屋内を進んでいく。

部屋の中は柵が張り巡らされていて、人間の通路以外は全て鳥類のための空間になっておりかなり自由に飛びまわれるようになっている。

頭上の格子にだけは糞の落下防止のため透明なビニールが張られているが、左右のオリはむき出しなので、近づきすぎるとエサと間違ってつつかれかねない。


「すっごい数。そこらの動物園の鳥類館なんかにも、ひけをとらないでしょうね」

「同種の個体数ではかなわないでしょうが、種類数では負けていないと思われます」


鳥たちのスペースもいくつかに区切られていて、入ってすぐは中型の種類が多かった。進んでいくにつれ、大型の、1匹でひとつの仕切り内を占領しているような鳥や、小型でせわしなく飛び回っているやつの姿も現れてくる。


「この間購入された新入りが、あちらですね。係の者に話して参りますので」


みのるは巨大ケージの中に入って掃除をしていた、作業服の男性に話しかけた。
鳥の世話専用の使用人だ。見たところ俺の知らない顔もいたので、やはり新しく雇い入れた飼育係の数も多そうだ。

鳥の世話手厚くする前に、息子の小遣い増やしてくれって話だよな。まったく。


「お待たせいたしました」


見るとみのるのうしろから、腕に鳥をつかまらせた飼育係が歩いて来ていた。
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