私立秀麗華美学園
俺の心の中の声が聞こえたかのようにゆうかは言った。


「わたしは、花を中心に植物でしたけれど。やっぱり、各個人好みはいろいろとあるものなんですね」

「そうですね。私は割と、中華料理が好きです」


みのるのとんちんかんな発言にもゆうかは慣れたもので、にっこりと笑って流した。


「俺は特にそういうの、ないなあ」

「いらっしゃるじゃないですか。ゆうかお嬢様が」

「あー、そうきたか」


軽い調子で言ってから、ちょっと恐る恐るゆうかの方を見ると、意外にも目が合った。
一瞬迷ったように視線を泳がせてから、ゆうかは小悪魔的に笑いながら言った。


「でも、わたしが花のこと知ってるほど、和人はわたしのこと知らないと思うよ」

「……ええー」

「花の種類などよりも、人の心は複雑だということですね。
でも、ゆうかお嬢様が花を好きなのよりも、坊ちゃまはお嬢様のことを愛しく思ってらっしゃると思いますけれどね」


さらりとそんなことをのたまいつつも、みのるは依然としてにこにこと人の良さそうな笑顔を崩さなかった。

ゆうかも俺もコメントの仕方がわからず黙りこくる。

本物の小悪魔は、意外とこんなところにいたのかもしれない。


お互いと反対の方向を見つつ、横目で動向をうかがい合う俺たちを見て、クロノリが控え目に鳴いた。





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