私立秀麗華美学園
「そんなことより、和人はどうなの? ゆうかさんに、少しは心を開いてもらえてたりするの?」
母さんがにこにこと、恐らく淳三郎氏以外の誰もが聞きたかったことの、核心をついてきた。
口の中のアボカドを嚥下し、なんと答えるべきかと考えあぐねていると、隣で兄ちゃんが口を開いた。
「そういやゆうかちゃん、俺が学園祭行った時、何か言いかけてたよなあ……?」
「あら、そうなの? ゆうかちゃん」
那美さんに楽しげな口調で尋ねられ、ゆうかは食事の手を止めた。少し照れたように微笑み「そうだったかもしれません」と言って、俺の方に視線を流す。和人が答えてよね、という意思表示だ。
「……前に、母さんたちと会った時とは、少しは違ってると思うよ」
俺の返事に再び、淳三郎氏も入れた全員が色めき立った。何せ、こんな返事をするのは恐らく初めてだ。いつも「相変わらずだよ」としか返せていなかった。
「そうなのか? 嬉しいことだなあ、和人」
「ゆうかったら、手紙も電話も寄越さないんだから。母親にぐらい、少しは教えてくれてもよさそうなものなのに」
「わざわざ知らせるほどのことじゃないわよ、そんなの」
「だって、ほんの少しでも違ってるなんて、とっても珍しいことじゃないの。ねえりえさん。教えて欲しいわよねーえ」
きゃっきゃっと嬉しそうに騒ぎ出す母さんとにこやかな親父、りえさんとは対照的に、淳三郎氏はフォークを握り締めてむっつり黙り込んでいた。
怒っている、というわけでもなさそうなんだが、なんというか、失礼だが、さながら拗ねた子供のようだ。
「……俺のゆうかちゃんがー」
クロスのレースの端をいじりながら兄ちゃんが呟いたので、テーブルの下で足を軽く蹴り上げる。顔を上げると、笑顔の那美さんと目が合った。私の分も、と言われたようなのでもう一発。
「2人の関係が良好なようで、嬉しいわ。いつもゆうかは可愛くない態度をとってばかりで、ねえ」
「そんなこともないですよ」
最近は少し、と、余裕ぶって俺が言うと、珍しくゆうかはむきになって反論してきた。
母さんがにこにこと、恐らく淳三郎氏以外の誰もが聞きたかったことの、核心をついてきた。
口の中のアボカドを嚥下し、なんと答えるべきかと考えあぐねていると、隣で兄ちゃんが口を開いた。
「そういやゆうかちゃん、俺が学園祭行った時、何か言いかけてたよなあ……?」
「あら、そうなの? ゆうかちゃん」
那美さんに楽しげな口調で尋ねられ、ゆうかは食事の手を止めた。少し照れたように微笑み「そうだったかもしれません」と言って、俺の方に視線を流す。和人が答えてよね、という意思表示だ。
「……前に、母さんたちと会った時とは、少しは違ってると思うよ」
俺の返事に再び、淳三郎氏も入れた全員が色めき立った。何せ、こんな返事をするのは恐らく初めてだ。いつも「相変わらずだよ」としか返せていなかった。
「そうなのか? 嬉しいことだなあ、和人」
「ゆうかったら、手紙も電話も寄越さないんだから。母親にぐらい、少しは教えてくれてもよさそうなものなのに」
「わざわざ知らせるほどのことじゃないわよ、そんなの」
「だって、ほんの少しでも違ってるなんて、とっても珍しいことじゃないの。ねえりえさん。教えて欲しいわよねーえ」
きゃっきゃっと嬉しそうに騒ぎ出す母さんとにこやかな親父、りえさんとは対照的に、淳三郎氏はフォークを握り締めてむっつり黙り込んでいた。
怒っている、というわけでもなさそうなんだが、なんというか、失礼だが、さながら拗ねた子供のようだ。
「……俺のゆうかちゃんがー」
クロスのレースの端をいじりながら兄ちゃんが呟いたので、テーブルの下で足を軽く蹴り上げる。顔を上げると、笑顔の那美さんと目が合った。私の分も、と言われたようなのでもう一発。
「2人の関係が良好なようで、嬉しいわ。いつもゆうかは可愛くない態度をとってばかりで、ねえ」
「そんなこともないですよ」
最近は少し、と、余裕ぶって俺が言うと、珍しくゆうかはむきになって反論してきた。