私立秀麗華美学園
「でもゆうか、165はあるだろ」
「ちょうどそれぐらい。170超えたら、報告してくるかと思った」
「……だって雄吾は、180超えてるらしいし」
その日の夜、寮の部屋で俺が成長期の継続に喜ぶ一方、雄吾はあっさりとその数字を口にした。正確には183cm。いつもセットで見られる男と10cm以上身長差があってみろ。俺でなくても打ちひしがれるに違いない。
「咲は160cmないのにね。でも和人意外とぜいたくー。わたしより高ければ十分なんでしょ?」
「ヒール履いたゆうかより高ければ、十分だよな」
「7cmヒールなんて履かないわよ。……たぶん」
ゆうかは自信なさげに付け加えたが、確かにそんな靴を履いてるのは見たことがなかった。背があと2、3cm伸びたら安泰だ。俺の精神状態が。
「一時期わたしの方が高くなかった?」
「小6の最初な。卒業写真がゆうかより低いのは嫌だったから、陰ながらいろいろ頑張ってた」
12歳の少年の涙ぐましい努力をゆうかは知るよしもない。主な手段は祈祷だったが。
「早いね。時間の流れ。お父さんにも言われたわ。中等部の卒業なんて、昨日のことみたいだ、とか……」
穏やかな笑顔の横顔に、12歳や15歳のゆうかが浮かんで、消える。いつも思ってることだけど、高校2年の花嶺ゆうかが一番綺麗だ。
ふと気付くと、シャンプーの香りと濡れた髪。頬は少し上気していて、着ているものは夏物の浴衣。
そんな無防備な格好で健全な男子高校生の前に現れないでください、と思った。
「……視線が怪しい」
「怪しくないっす」
「動揺している」
ゆうかは上目遣いで軽く睨んで、小悪魔の微笑みを浮かべた。俺は口を押さえて顔を背ける。ああもう、やっぱりいつものパターンだ。
「ねえ、和人」
「は、はい?」
「もう一度質問させて」
真剣味を帯びた口調に顔を向けると、ゆうかは例のあの質問を口にした。
「どうしてわたしのこと好きなの?」
「ちょうどそれぐらい。170超えたら、報告してくるかと思った」
「……だって雄吾は、180超えてるらしいし」
その日の夜、寮の部屋で俺が成長期の継続に喜ぶ一方、雄吾はあっさりとその数字を口にした。正確には183cm。いつもセットで見られる男と10cm以上身長差があってみろ。俺でなくても打ちひしがれるに違いない。
「咲は160cmないのにね。でも和人意外とぜいたくー。わたしより高ければ十分なんでしょ?」
「ヒール履いたゆうかより高ければ、十分だよな」
「7cmヒールなんて履かないわよ。……たぶん」
ゆうかは自信なさげに付け加えたが、確かにそんな靴を履いてるのは見たことがなかった。背があと2、3cm伸びたら安泰だ。俺の精神状態が。
「一時期わたしの方が高くなかった?」
「小6の最初な。卒業写真がゆうかより低いのは嫌だったから、陰ながらいろいろ頑張ってた」
12歳の少年の涙ぐましい努力をゆうかは知るよしもない。主な手段は祈祷だったが。
「早いね。時間の流れ。お父さんにも言われたわ。中等部の卒業なんて、昨日のことみたいだ、とか……」
穏やかな笑顔の横顔に、12歳や15歳のゆうかが浮かんで、消える。いつも思ってることだけど、高校2年の花嶺ゆうかが一番綺麗だ。
ふと気付くと、シャンプーの香りと濡れた髪。頬は少し上気していて、着ているものは夏物の浴衣。
そんな無防備な格好で健全な男子高校生の前に現れないでください、と思った。
「……視線が怪しい」
「怪しくないっす」
「動揺している」
ゆうかは上目遣いで軽く睨んで、小悪魔の微笑みを浮かべた。俺は口を押さえて顔を背ける。ああもう、やっぱりいつものパターンだ。
「ねえ、和人」
「は、はい?」
「もう一度質問させて」
真剣味を帯びた口調に顔を向けると、ゆうかは例のあの質問を口にした。
「どうしてわたしのこと好きなの?」