私立秀麗華美学園
およそ2ヶ月前の薔薇園で。
確かに俺は同じ質問をゆうかから受けた。
そして思い出すのも恥ずかしいほどベタ褒めな台詞で、普段の自分の心情を語った。
何ひとつ脚色せずに。


ゆうかの瞳は真剣だった。戯れで聞いているわけではない。

あの時の俺たちは、不安定で、しかも言い争った直後の興奮冷めやらぬ状態だった。

だけど今は違う。いくつかの出来事を通して成長して前進した。こうやって落ち着いて2人だけの空間にいられるようになった。

少しは違った答えがあるはずだ。


「ゆうかと一緒にいたいって思う」

「一緒に……?」


それでもやっぱり根底にあるのは、そういう日常的な感情だった。


「ずっとゆうかを見ていたい。
同じものを見て経験して共有したい。

だからたぶんそのために、好かれたいっていうか……一緒にいたいと思ってもらいたいんだと思う」

「好きってそういうこと?」

「そうかな」


ひとつの感情を説明することがこんなにも難しい。ただ漠然とある思いそれ自体には名前がついている。名付けが先だった。だからかえって難しい。


「その相手がどうしてゆうかなのかって質問に答えるとしたら、実は、ゆうかのダイエットを止めたあの日にふと思ったことがあるんだけど」


熱のこもった布団の中で。ぐるぐるぐるぐる、ゆうかのことと、自分のことを考えた。


「誰かを好きっていうか、ゆうかが好きだ」

「……どういうこと?」

「さあ」


無責任によくわからないことを言って放り投げた俺に、ゆうかは「何それ」と呟いて笑った。

視線を床に落とし、うしろに両手をつく。


「……わかんなくなってきちゃって」


ゆうかからはあまり聞かない、自信なさげな声色だった。


「好きってどういうことだったっけ」
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