私立秀麗華美学園



「……で?」


首を傾げて尋ねた咲は、せっかく自分で入れたミルクティーを味わいもせずに飲み干していた。


「何を尋ねたん? いつ? どこで? 続きはあああ!?」


騒ぐ咲に対しゆうかはしばらく黙っていたのだが、続きを話す気がないわけではないらしい。ただ少し、話し方を迷っているようだ。もしくは、話す領域を。


「……いつ、はその夜。どこで、は和人の部屋。何を、は……」

「夜に和人の部屋行ったん!? ゆうかが!?」

「別にいいでしょ。夜だろうが朝だろうが。喋っただけなんだし」


ちょっとからかいはしたけど、という続きは口には出さない。そんな行動すら彼女にとっては驚きで、さらなる疑問符を投げかけられるだろうから。

何しろ自分でも驚いているのだ。

今までやろうともしなかった、あんなからかい方をしたことには。


「ふううん。まあいいや。それで、何を、は?」


濡れたタオルを頭にかぶり、端を両手で握って口の前にもってくる。そのままの状態でぼそりと答えを言った。
聞き取れず咲は聞き返す。もう一度、今度は少しばかり声を大きくして言う。

咲はちょっとした衝撃を受けてのけぞった。


「こっ、こっ、小悪魔やなー……」

「……なんで?」


単純な疑問としてゆうかは尋ねる。咲は説明せんとしたが、ゆうかを納得させられる自信はなかった。小さな声のその疑問はひとまずさておくことにする。


「そんなん聞かれたら、あたしもまともに返事できる気いせんわー」

「咲でも? じゃあ、雄吾でもそうかなあ……」

「そしたらさあ。ゆうか、あたしのこと好きやろ?」

「え? うん、まあ、そうよね」

「そのことについて同じ質問されたら、ゆうかは論理的な説明とか、できる?」


予想しなかった質問をつきつけられ、そしてそれが難問であると気づいた時、ゆうかはようやく少し納得できた気がした。

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