私立秀麗華美学園
「そっか……でもそれじゃあ、誰にも教えてもらえないのね」

「自分で見つけなあかんってことー」


弾むように咲が言ったのを聞いて、ゆうかはため息をついた。


「このことについてだけは、4人の中でわたしだけ取り残されちゃうのよね」

「和人にとってはすごい皮肉なことやけどな」


なるほどもっともな意見だ。
肩を落としてうなだれる和人の様子を想像するのは容易なことだった。2人は顔を見合わせて笑う。

ゆうかはクッションにしなだれかかりながら、月城家に泊まった日のことを思い出した。

珍しいからかい方をしたあの夜。
あの時、なぜだか急に恥ずかしくなって、何事かを喋ったあと早足で和人の部屋を出たのだ。


「……あああ、なんかわかんないけど悔しい」

「はあ?」

「和人に負けたみたいで悔しい」


ふてくされたように口を尖らせる。突然いつものゆうかに戻ったような気がして、咲はそれまでのゆうかの様子がこころもとなげだったことに初めて気づく。


「もうこの話終わりっ。咲は? どうせいちゃついてたんだろうけど、何かなかったの? 雄吾と帰省してる間」

「そうやなー。基本的にはずっと、爆発しろって言われるぐらいひっついてたけどー……」


急に話題を切り替えられるが、そう珍しいことでもないので、単純明快な思考回路を持った咲は素直にうーんと考えた。


「あっ、そうそう、ゆうかたちんとこみたいに、2人で鳥居の家行った時にちょうどうちの家族も来とってな。大勢でわいわいやってたんやけど」

「……咲の家族、全員が全員咲みたいなテンションだものね」

「うん。弟と妹も久しぶりではしゃいでたしー。それで結構楽しく、やってたんやけど――」


語り手は咲に替わり、休暇中の土産話はまだまだ続いた。



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