私立秀麗華美学園
あまりにも人が多いため、夕食は立食パーティーのようになった。

そこでやっと2人は距離を置き、各自の両親と個人的な話をする。


「雄吾朗っ。あなた本当に変わったわね。母親の私ですらなかなか読み取り辛い表情をすることが多かったのに、今のあなたならすっごくわかるわ! それに咲さんに対する態度も雄治郎さんに似てとっても優しくって丁寧で、感激してしまったくらいよ」

「……母様は、相変わらずのご様子ですが」

「その通りだよ。相変わらず、お喋りが大好きでお買い物も大好きで。もちろん美子の明るさには、しばしば救われているけれどね」

「まー、雄治郎さんったら!」


夫の背中をばっしばっしと叩いて、美子は照れながら手にしたワイングラスを傾ける。


「……お元気のようで、何より」

「そうだな。雄吾朗、そういえばまたお前、背が伸びたんじゃないか?」


言われて、料理に視線を落としていた雄吾は父の顔を見上げる。

和人の情報によると183cmの上背を持つ雄吾だが、父の背丈はそれを5cmほど上回っているようだ。


「本当ね。身長も雄治郎さんに似て良かったわ。男の子なんだから背なんていくらあっても困らないもの。そのうち雄治郎さんも抜いてしまうのかしらね?」

「いえ」


ぼそりと呟いて、離れたテーブルの近くに、両親と共に立っている姫の姿を視界に入れる。


「……これ以上伸びても、咲と離れるばかりなので」

「えっ、何か言った?」


首を傾げる妻と、素知らぬふりをした息子の姿を見て、雄治郎は微笑んだ。
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