私立秀麗華美学園
「ええっ、恭真を学園に!?」


こちらは咲とその両親。
母親も父親も小柄な方なので、3人セットにして雄吾とその両親と比べてみると、雄吾と咲の身長差にもなるほど納得だ。


「そうやねん。中等部からな。あの制度を使わせてもらう気は、今のとこないけどねぇ」

「ほんなら寮入るやろ? 麻由、寂しくなるなあ」

「せやなあ。歳近うて、あの2人はほんまに仲ええからなあ」

「そっかあー……」


部屋を見渡すと、恭真と麻由は今も一緒にいた。2人して、鳥居家の親戚のおばさんと何やら楽しそうに会話をしている。

恭真が秀麗華美学園に入るのなら、麻由も同じになるんかな、と考えていると、恭真と麻由のいるテーブルの奥に、また一人で立ちつくしている羽美の姿が見えた。


「なあ、こっち来てから、羽美ちゃんと喋った?」

「羽美ちゃん? ああ、わたしらがここ来た時には、ものすごいかしこまった様子で迎えてくれたけど」

「あの子べっぴんになったなあ。でも会うたびに、どんどんどんどん、それこそかしこまった様子になっていってるように思うわ」

「自分のこと、ちゃんと知ってもうた時からかもしれんなあ」

「誰も気にせえへんのに」


やっぱり、と咲は思った。前に会った時よりも羽美ちゃん、大人しい子になっちゃってる。


羽美は、雄治郎美子夫妻の本当の子供ではなかった。
羽美を生んだのは雄治郎の末の妹で、父親は旅先で行きずりの関係になった、東南アジアの男だ。

母は当時まだ若く、放浪癖もあった。そのため羽美を生み落としてすぐ、名前もつけず、あての知れぬ気ままな世界旅行に旅立ってしまったのだ。

当時存命だった雄治郎たちの父親に、彼女は勘当された。
そして羽美は、兄妹の中で唯一子供を成していた雄治郎夫妻の元で育てられることになったのだった。


そうは言っても、羽美が雄治郎、美子、雄吾と一緒に生活するようになったのは生まれて間もない頃のことだったので、普通の妹と違うのは、胎児の期間を過ごしたのが違う母親の腹の中だったということだけだ。


なので雄吾も普通の妹として接してきたし、咲も年に数回鳥居家に来た時にはよく遊んであげていたものだった。
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