私立秀麗華美学園
「成り行きというのは怖いものだな……」
場所は寮の部屋。
いつものように枕を抱きかかえてベッドにうつ伏せという、息苦しいのになんとなく落ち着く体勢で、俺は雄吾に話を聞いてもらっていた。
「ゆうかも驚いただろう」
「組んだ瞬間には俺たちよりも驚いてたと思う」
じゃんけんで負けた俺が黒板に名前を書き終わったあと、教壇の上からヨハンの肩越しに見えたゆうかの表情を思い出す。
俺を見て、黒板を見て、笠井を見て、理解できない、という顔をして首を傾げる。
今思えばあの時に冷静になってればよかったんだよなあ……。
「そもそも笠井と何がしたいんだ。ゆうかとヨハンの活動の邪魔でもする気か?」
「いや別に、そういうことを考えてたわけじゃねえけど」
「しかしお前も、留学生に困らされることになるとはな」
C組にはC組で留学生が来たらしく、そっちは女の子でカルラというそうだ。
彼女もスペイン人でヨハンと同じく誰に対してもフレンドリーなようだが、なんと、特に咲と仲良くしているらしい。
カルラは漫画で日本語を覚えたというタイプで、漫画を読み漁ることが趣味の咲とは共通の話題が多いのだそうだ。
そんなわけでカルラが咲と仲良くなればなるほど、雄吾の入り込む隙間はなくなっていき、ここのところ姫にご執心の雄吾にとってはおもしろくないというわけだ。
「でもそれはカルラって子が咲を気に入ってるからであって、咲がどうって問題じゃねーだろ」
「それはお前にも言えることだと思うが」
「つーかそもそも相手が女じゃん」
「まあ……和人なんて、自分の意思で余計な問題まで作ってしまっているわけだしな」
自分の意思って、そりゃそーなんだが、認めたくねえなあー……。
「まあ、どうしても嫌ならくじで決まったと思えばいい」
「それもそーだな」
そうだな。笠井については、運で決まった、変な機会だと思うことにしよう。
違った見方を持った方と協力し合うのも、大切なことらしいし、な。