私立秀麗華美学園
あとで確認したところ英語Wは週2であるらしい。

5日中の2日なわけだから、ペアを決めた2日後すぐにその授業はやって来る。

55分中通常の授業を30分間で進めてから例の取り組みに移行した。


「それではとりあえず、なるべくペア同士で固まって座ってくださいな」


なるべくって言ったよな、なるべくって。向こうが来るなら別だが、べっつにわざわざひっつく必要もねーだろ。

そう思って笠井の方を見てみると、まあ、同じこと考えてんなって表情をしていた。


「和人、どいてくれよー」


背中にべったりと体温を感じて振り向くと真二だった。


「は?」

「未樹の横。前もうしろも埋まってるから和人のとこしかねーんだって」


そうして俺は巻き毛に問答無用で自分の席を追い出され、仕方なく、これ以外に仕様もないので本当に仕方なく、空いていた、笠井の前の席に座った。


ゆうかは俺の座った席の2つ前で、隣にはもちろんあの金髪。30cm以上近づくなコラ。

大体の生徒が移動し終えたのを見て、榎木先生は発表のテーマを黒板にでかでかと書いた。


「『日本特有の文化』。これを発表のテーマにしようと思います。
残りの時間で、ペアで相談して何について調べるか決定し、原稿を組み立てる際に入用になりそうな表現を出し合っておいてください」


いきなり相談せよとの御指示である。

そして俺は着席位置のミスを痛感した。俺が後ろを向かない限り、会話は始まらないわけだ。
後ろ座ってりゃ笠井が行動するの待ってるだけでよかったのか。なんて浅はかだったんだ。

かと言って意固地になって前向き続けてんのもあほらしいし、視界にゆうかたち入ってくるし。


周りが会話を始めていく中でしばらく固まっていた挙句、俺は思いっきりため息をつきながら後ろを向く。

ちらりと笠井の顔を見てみると、半笑いでやつは言った。


「わざわざ前の席座るって、お前、ほんとに馬鹿なんだな……」


もう十分痛感したんで勘弁してください。




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