私立秀麗華美学園
笠井の思惑とは裏腹に、ペアを組んで以来ヨハンは授業以外でもゆうかにやたらと話しかけるようになった。

だが笠井はそれに対し明らかな妨害をするわけでもない。意外と俺と同じ人種なのか?

当然のように俺への配慮など皆無だが(別に他の人にもされたことないけど)、ヨハンはPAK制度についてはある程度心得ているらしい。


「ゆうかがプリンセスだなんて、カズトが羨ましいな」


体育でたまたまペアになり、バスケのチェストパスをし合っているとそう言われた。

大問題な発言のようにもとれるが何しろ常日頃からそんなことばかり言ってる奴なので、対応にも困ってしまう。


「幼い頃から一緒だったんだよね」

「あー……来年で、10年になるなー」

「だけどそれほど仲良しではないんだね」


直球ー。

ほっとけよと言いたくなるのをこらえ、わはははと笑ってごまかす。


「やっぱり、親同士の問題なのかな。僕にはよくわからないけど」


俺にもよくわかりません。


「でも、あんなヤマトナデシコと友達になれて僕も嬉しいよ。美人で頭が良くて親切で、理想の女性だね」


柔和な笑顔と共にヨハンが言ってパスを出す。完全に動揺した俺はそれを受け損ない、非常に不格好な形で、転がって行くボールを追うはめになった。

やっと拾って顔を上げると目の前に、ぬっと笠井の顔が現れた。


「な、なんだよ」

「あのな、敵に弱点晒してどうするんだよ」

「……聞き耳立ててたのかよ」

「気になってスリーポイントも入らねえ」


そう言うと現バスケ部主将の笠井は、手近なバスケゴールに向かってロングシュートをうった。
ボールはネットを大きく外してゴール板にあたり、俺に向かって真っ直ぐ跳ね返ってくる。

すんでのところでよけた俺が文句を言う前に笠井は元いたところへ戻って行っていた。


どっちかっていうと弱点しかねえっつーの。
いやいや仲良しですよなんて言えるかよ。


「カズトー?」

「あーはいはいはいはい」


ライバルその1にどやされた俺は、ヤケみたいにばすんばすんドリブルをつきながら、ライバルその2のもとへ戻った。




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