私立秀麗華美学園
ヨハンは昼休み、大抵女の子と昼飯を食べていた。
基本的に誘うのは女子の方からで、数的にブッキングするのは簡単だ。数人をはべらしている姿を食堂で見ることもしばしば。
図的にすげー嫌な奴みたいだが、彼の気さくな性格のせいか、男子からの評判が特段悪いということもない。
ゆうかの言っていたように外国人のイメージってのも関係してんだろうな。
だからその点についてはノーマークだったとしか言いようがない。
昼休み、ゆうかを食堂に誘おうと声をかけた時のことだった。
「ごめん、今日ヨハンと約束しちゃった」
「や……」
や、く、そ、く、?
「それは、ヨハンが?」
「うん」
してやられた、と俺は言葉を失う。
知る限りヨハンが誰にも声をかけられなかった日は、少なくとも今までにはない。
ということはわざわざそれらを、断ってまで……?
「ユウカ」
折良くヨハンの声が教室の後ろのドアあたりから聞こえた。
ゆうかは俺を一瞥してから、「じゃーね」と簡単に言って、ヨハンに駆け寄って行った。
なんなんだなんなんだあいつはあぁぁ……。
どう考えたって、ゆうかだけを特別扱いだ。
まさかとは、思う、が……。
「とんだヘタレだな」
どーんと追い打ちをかけてきたのはもちろんあの殿下。
「黙って見送ってどうする」
「俺に何が言えるっつーんだよ」
「そこは自分で考えろよ」
「つまりヘタレが2人というわけですね」
むしゃくしゃしながらも、気になるのでっていうか単に昼食をとらねばならないので食堂へ向かう。
「ちょっと待て、今のは聞き捨てならねえぞ」
「はあ?」
教室を出てすたこら早足で歩いていると、うしろから笠井がついてきた。