私立秀麗華美学園
「わたしは、きっと残像が見えるぐらい速いのよって言ったの。でもヨハンは、ニンジャもボルトには勝てないよって言うんだもの。そんなのツマラナイでしょ?」


切なげにため息をつくカルラをしり目に、俺と笠井は相談した。


「事情が変わったな」

「なんか、仲直りさせる方が手っ取り早そうだな」

「だろうな。よし、その方針でいくぞ」


うなずいた笠井はくるりと表情を変え、カルラにすり寄った。


「ねえ、カルラ。せっかくのニホンなんだ、恋人と観光もできないのはつまらないだろう? ニホンのことわざに『仲良きことは美しきかな』というのがあるのは知っている? 恋人同士ならなおさらだよ」


よくもまあこれほどすらすらと言葉が出てくるものだ。笠井はカルラに向かって最上級の笑顔をキープする。


「でも、憎たらしいわ。ニンジャの話を考えないとしても、ヨハンは、女の子と仲良くしすぎているの。……でもそうね、本当は、仲直りしたいわ」

「それなら話は早い。僕たちも手伝うよ」

「ほんとうに? ありがとう、シン!」


カルラがぱっと顔を輝かせ、笠井は小さくガッツポーズを作る。


「仲直りかあ。まあ、ケンカはつきものやんね」

「そうね。わたしたちも、もう何度目かわからない。でも、ヨハン謝らないのよ」

「意外と頑固なんだなあ。女の子と仲良くしてるのもあてつけだとしたら、子供っぽいし」

「そうよ。大変なんだから」


言葉とは裏腹にカルラはくすっと笑った。ああ、本当に恋人なんだなあと思う。


「一度くらい、わたしもやり返してやりたいぐらいよ」

「できるやん、ほら、協力者」


にやにやしながら咲が指したのは俺だった。


「……え?」

「妬かせるだけ妬かせたろっか。ヨハンの前で、カルラも和人と仲良くすんの」

「いいわねそれ!」

「なるほど、名案だ」


カルラが賛成し、笠井も当然その案を推す。


「ヨロシクね! カズト!」


ヨロシク、じゃなくて、え、ちょっと。











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