私立秀麗華美学園
「なんであんな案出すんだよ……」


その後カルラはブシの見学のことも忘れ、イロイロ考えてくる! と言ってさっさか帰ってしまったので、俺は取り残された咲と帰っていた。


「いいやん。楽しそうやし」

「じゃなくて、なんで俺指名なんだよ。笠井でもよかっただろ」

「だってきっと、ヨハンに見せるんやったら、ゆうかも見ることになるやろ?」

「だから嫌なんだけど」

「なんでーな。笠井とカルラ見て、もしゆうかが妬いたりしたらどーする? どうせ和人またべっこべこにへこむやろ」


痛いところをつかれて返す言葉もなかった。その可能性って、残ってたっけ? あまり危惧してはいなかった問題だが、絶対ないとは言い切れない。


「……まあ、あたしが思てたんは逆の方やけど」

「逆?」

「和人がカルラといるん見て、もし、もしもやで、ゆうかが機嫌悪くなったりしたら、それって、嫉妬と同じやと思わん?」

「しっ……」


驚きに驚いて咲を見ると、悪戯っぽく笑っていた。


「ない。ないないないない。それはない」

「わからんで。物は試し。それに、ゆうかが何の反応もせんねんやったら見られたってかまわんやん」

「まあそうとも言えるけど……つーかそんな一瞬で、よく頭回ったな。咲らしくない」

「あんたさりげなく失礼やな。ほら、こういうの、少女漫画の定番やからー」

「あー、なるほど」


せっかくの作戦だが、期待通りの結果が得られることはまずないだろう。
ついこの間嫌われてないって知った(まあ半信半疑だけど)ところなのに、嫉妬なんぞ、ちゃんちゃらおかしーって話ですよ。


「嫉妬と言えば雄吾が不満そうだぞ。咲がカルラと仲良いーって」

「知ってるー。でもカルラはあと3週間ぐらいで国に帰っちゃうわけやしさあ。
まあ、最近の雄吾は雄吾で可愛いからいいねんけどー」


声を弾ませて咲は言った。非常にご機嫌そうな顔つきだ。


「咲が小悪魔化したら雄吾がかわいそうだ」

「せぇへんよー。でもな、今まで見たことなかった雄吾を見てみたいな、とは思うねん。
意外とゆうかも、こんな感じなんかもな」


初めて見る一面、か。

それについては何も言えないまま、俺たちは寮に着いた。











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