私立秀麗華美学園
「よく引き受けたわね、リーダーなんて」


翌朝、会うなりゆうかはそう言った。


「え? それゆうかが笠井に言ったんじゃねえの?」

「え、最初に和人あげたの、笠井よ? わたしは、パート長は調理しか残ってなかったからどうだろうってなった時に、作るのはお菓子だからどうにかなるかもねって意見しただけ」


いや推してねえじゃん全然。不思議がられてんじゃん。

やつのはったりにまんまと引っかかったな、と心の中で毒づく。

真二や馬渕に聞いても同じだった。


「笠井が突然和人あげるからびっくりしたよ」

「ゆうかも驚いてたけどね。ていうか月城くん、お菓子作れるんだ」

「花嶺さん専属パティシエだよなー。でも前もらったフロランプとかいうやつうまかった」

「ランプじゃねーよフロランタンだよ。つーかお前調理パートってなんかできんのかよ。どーせ馬渕と一緒だからだろうけど」

「違うよー。先に手上げたの真二だったもん」

「だって和人がリーダーなら楽かなあと思って」


まったくへらへらしやがって。これだからリア充は。

笠井は一体どういうつもりなんだろうなあ。
めんどくさがりの俺に対する単なる嫌がらせとは思えなかったが、真意は測りかねた。


そんなこんなで昼休み、食堂でパート長会議が開かれた。進行はゆうかだ。


「調理パートはメニュー決め。装飾はお店のコンセプトからね。広告はあとでポスターとかビラの必要数教えるから。それじゃまずは学園祭費の説明から始めます」


あらかた説明が終わると、メニュー決めはパートの会計と相談してやれとのことなので会計の子の隣に座り直した。

会計は俺の後ろの席のなんとか本さん改め松本さんだった。
すでに朝会った時に「なんで調理パート長なんてやったの? 意外ー」という疑問には答えてある。


「よろしくー月城くん。ていうか金額聞いてメニュー決めるとかできるのー?」

「よろしく。まあ無理だなー。俺牛乳の値段も知らね」


部屋で作るときには雄吾が買ってきて常備している材料を使うからなあ。


「だよね、あたしもさっぱり。次からでよくない?」


……まあ、確かに。

話し合いの放棄はゆうかの指示に背くような気がしたが、なんにもわからん状態じゃどうしようもない。

罪悪感を感じつつも、その会議は松本さんとの雑談で終わってしまった。

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