私立秀麗華美学園
放課後に企画運営委員会があったので今日も1人で帰った。
雄吾はまだだったので寮のパソコンルームに向かい、LHRの時に馬渕に教えてもらった、これまでの学園祭の出し物や経費についての資料が置いてあるページにアクセスした。
学園祭は基本的に関係者からの寄付金で成り立っているため、明細が公開されているようである。
「あった」
和菓子を扱った調理クラスは今までにもわりとあった。
ゆうかが要求してくんのって大抵洋菓子だから、和菓子はあんまり知らねえんだよなあ。
わらびもち、だんご、ようかん、大体どこもそんな感じだ。
八つ橋やきんつばまで提供しているクラスがある、と思ったらやっぱり去年の雄吾のクラスだ。和菓子屋ではなく懐石料理のデザートとして出されている。もう店でもなんでも開けばいい。
要りそうな材料の費用をメモし、多めに種類を選んで検索したレシピをいくつか印刷して、部屋に帰る。
「おお、働いてるな」
「だろー?」
帰っていた雄吾は勉強モードに入っていたが、俺が持つ紙の束に興味を示してメガネを外した。
「へえ、早いな仕事が」
「や、今日の会議で何にもできなかったからさ」
「そうか。まあ仕方ないな。メニューの数は指示されたのか?」
「いや、でもまあ4つか5つぐらいかな」
「妥当だな。だんごはタレだけかえれば材料は少なく種類が増やせる。わらびもちを採用するなら、わらび粉はコスパが悪い。片栗粉で十分だろう」
次々と出してくれる雄吾の意見を慌てて紙に書き留める。
「ところで、想定の来客数は?」
「あ、聞いてねえや」
「……なんの計算もできないな」
た、確かに。必要な情報ぐらい整理しておくべきだった、と反省する。
「まあ、それほど急ぐことでもない」
「うん。とりあえずそれぞれに必要な材料だけまとめとくよ」
「意外と務まりそうだな。能力不足の心配は要らなかったか」
意外、意外、と今日で何度言われたことか。
皮肉交じりであろうと雄吾に褒められたことは素直に嬉しかった。