私立秀麗華美学園
「おまえ花嶺さんと何年目なんだ?」

「片思い歴9年ですけど」

「俺さ、亜美子は3人目の姫なんだ」


3人目の姫、その言葉に最初はぴんと来なかった。

PAKのペアは何度でも変えることができる。
会社の経営上の成り行きであったり、方向性の変更が原因であったり。

少なくともペアを組まされる本人たちの意思の結果であることはまずない。

ペアの変更は学期や学年の終わりの節目ごとに可能になっている。
学期変わりでペアが変わったために、クラスメイトが減ったり増えたりしているということも何度かあった。


姫が3人目ということは、今まで2度、ペアの変更を受けたということか。


「亜美子の前のやつとは4年、その前は2年半か。亜美子とはまだ半年だ」

「……わりに、仲良いな」

「だろ?」


鍋の様子は気になったが、本田の話は遮れなかった。


「2度目だしな。1度目変わった時はそう簡単には割りきれなかったが。
亜美子とは幸い気も合って、すぐ馴染めた。お互い事情はわかってんだから積極的に好きになろうとした。

今では亜美子が好きだし、この通りだ。
でも俺の親父はすげえ気まぐれだからな。いつまた変更があるとも限らねえ。

1対1の関係だろ。俺たちは好きになる相手を決められてんだ。無理に逆らおうとしなけりゃ案外すんなりいくもんだよ。

悪気があって言ってるわけじゃねえけどな、お前みたいな一途の手本見てると、こっちの事情も知らしめてやりたくなってくんだよなー」


……そうだな。
そんなこと考えたこともなかった。


「お前は」


本田は台からおりて不敵な笑みを浮かべた。


「姫だから好きなのか、花嶺さんだから好きなのか、って、はなし」













< 347 / 603 >

この作品をシェア

pagetop