私立秀麗華美学園
うちの系列のデパートはこのあたりにはない。適当に選んで入ったところは、ひとつ下の学年のなんとか橋さんのとこが経営してるとこだった気がする。
その辺の把握も俺はまだまだ甘過ぎる。雄吾聞けば一発って安心感に依存し過ぎだ、ひじょうによくない。


「わたしも買おうかな、雄吾に。和人は何にする?」

「とりあえず服以外だな。雄吾に洋服選ぶ勇気はないや」


何でも似合うのはわかっているが、おこがましいという気持ちが優先する。卑屈になってるわけではないけど、雄吾相手じゃ特別だ。

ゆうかも同意してくれたので11階12階の小物売り場に絞ってぶらつくことにする。
バレンタインの催事場に人が集まっているせいか、あまりお客さんも多くなくて、何度も店員に話しかけられた。


「和人、話しかけられると商品見るのやめるよね」

「ビビリだから……なんでほっといてくんねーかな……」

「まあ、ここの人はちょっと品が無いかもね。手当り次第って感じ。橋内さんのとこよね、ここ」


なんとか橋さんじゃなかった……と思いつつ角を曲がる。右手に冬小物の専門店があって、手袋が並んでいるのが目に入った。


「あ、手袋買おうかな」

「自分用に?」

「うん。片方どっかいっちゃったから」

「えー、でも手袋は、指先あいてる方がいいよ」

「そう? ……ゆうかの使ってるやつあいてたっけ」

「わたしは、冷え性だから」


そうだったっけと思いながら手袋を手に取る。ゆうかは同じ店の、ネックウォーマーとかが置いてあるあたりへ行った。
指先まで覆われてるやつばっかりだなーと思っていたら手招きで呼ばれた。


「ネックウォーマー持ってたっけ?」

「雄吾? 持ってないけど、マフラー持ってるからなあ」

「まあ、そりゃそっか。防寒対策なんてばっちりに決まってるよね」

「風邪引くの嫌いだからな」

「んー。決まらないねー」


フロア中をうろついてみてもなかなかいいものは見つからない。
あんまりうろちょろしたんでコートを来たままのゆうかは、少し暑がっているぐらいだった。
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