私立秀麗華美学園
聞いていた場所の最寄りのバス停で降車する。ここからは歩いて5分程らしい。


「場所わかるの?」

「降りたら西にまっすぐって聞いてるだけなんだけど。相当でかい物件らしくて、見たらわかるって」

「ふうん。立地条件も良いし、結構な仕事にたずさわってるみたいね」


聞いた通りの道をまっすぐ行く。道中差し入れを買って行こうという話になったので、近くにあったコーヒーショップでドリップコーヒーを、タンブラーの容器でテイクアウトした。

やがて巨大な木の骨組みが見えてきた。確かにすぐわかる。周りの建物と比べて群を抜いている。

建物の足元に到着し、現場を覗き込んでみる。
かなりの人数の男たちが働いていた。どうやら、足場を作っている最中のようだ。真冬だというのに半袖で動き回っている人もいる。


「わあ、上棟式には参加したことあったけど、実際に働いてるのを見るのは初めてかも」

「すっげーたっけー……あんなとこ、命綱もつけずに立ってる……」


ぽかーんと口を開けて2人で上の方を眺めていると、筋肉隆々のひとりの男性かわ近づいて来た。


「なんだ、依頼主んとこの嬢ちゃんか?」

「あ、いえ、違います」

「熊之崎と弓浜って人、ここで働いてます? 知り合いなんですけど」

「ああ、いるよ。依頼主さんからの紹介ってんでね。呼んできますか」


やがて見覚えのある2人が近づいて来た。頭にタオルを巻いて、軍手をして。ほんとの働く姿だ。


「おお、久しぶりじゃねぇかよ。よく来てくれたな」

「行くって言ったじゃないですか。ちゃんと約束は守りますよ」


熊之崎さんがにっこにこでやってきて、後ろから弓浜がびっくりしたように走ってくる。ゆうかに会うのは半年以上ぶりだ。


「えっと、ゆうかさんでしたっけ。ども。弓浜です。むさ苦しいところですけど」

「お久しぶりね。いーえ、すごいわねって眺めてたとこだったのよ」


棟梁から許しを得たということで、休憩スペースのプレハブに移動することにした。
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