私立秀麗華美学園
ゆうかの審美眼は正しい。料理はとても美味しかった。魚貝類がメインで白ワインと共にと言いたいところだが残念ながら未成年なのでノンアルコールのシャンパンを頂いた。食器も一枚一枚磨き抜かれたものを使っていて、何より給仕たちのサービスがよかった。飲み物が無くなるや否や注ぎに来るあたり過剰とも言えるくらいだった。

メインのひと皿前あたりで、ゆうかが言った。


「和人はさあ」


音ひとつ立てずに、フォークが皿をぐるりと一周する。


「進学するよね」


秀麗華美学園の卒業生の大半の進路は、進学だ。しかし卒業と共に就職、起業、海外、という例も多い。特に親が高齢でひとりっこだったりすると、一刻も早く世代交代の準備を、という感じで進学を諦めるやつもいる。ここの高等部ではその気があれば大学レベルの授業も経験できる。


「うん。進学しない理由が特にないし」

「わたしもそうね。留学もしたいし」

「……へぇー……」


リュウガク。RYUGAKU。それって俺がくっついて行ってもいいやつなんだろうか。月単位でゆうかと会えないなんて考えただけでぞっとする。


「まあ、ほら、このまま一般的な道をたどるとしたらね、わたしは表立って働かなくても、良いわけじゃないですか」


……妙に回りくどい言い方なのはその道をたどることの現実味の薄さからだろうか。俺が花嶺の籍に入るなら、という話。


「成長してみた結果、淳三郎さんの中でゆうかの方が後継者として相応しくなってるかもしれないけどな」

「それはないわよ。あの人男女共同参画社会を良しとしてないから」


そう、結局そのことが唯一の砦なのではないかと、邪推もしてしまう。
< 456 / 603 >

この作品をシェア

pagetop