私立秀麗華美学園
どう出るか、と様子を見ていると、昨日と同じように昼食に誘われた。
断る理由もなくのこのこ着いて行き、今朝の様子について尋ねると、幸ちゃんは小首を傾げて答えた。


「ゆきが好きなのは和人くんだけだもーん」


完璧な笑顔はやっぱり少しゆうかに似ていた。そりゃ可愛いに決まってる。


「えっと、それなんだけど」

「なに? 妬きもち?」

「そういうわけじゃ……その、好きとか言ってるのなんだけど」

「好きだよ。和人くんのこと好きー」

「……はあ」


本気で言ってるの? とは聞きづらい笑顔だった。両手で頬杖をついて身を乗り出してくる。


「昨日、流してたけど、和人くんはゆきのこと好きじゃない?」

「それは誘導尋問だよね」

「ゆうかちゃんとどっちが好き?」

「……それは、悪いけど、ゆうか」

「えー。ゆきの方が可愛げあるのに」


可愛い、ではなく、可愛げある、と言うあたり女の子は怖いなと思った。確かに可愛げがあるのがどちらかと聞かれたら俺だって、幸ちゃんと答える他ない。


「でしょ?」

「そういう問題じゃないから」

「ゆきの方がスタイルもちょうどいいよ。ゆうかちゃん細すぎだもん」

「そういう問題でも、」

「あとゆきの方が和人くんと身長がお似合いだよ」

「それはほっといて」

「何よりね、ゆきの方が和人くんのこと好きだと思うなあ」


じわっと嫌な感情が広がるような発言に、俺は言葉を詰めた。
無邪気な笑顔の幸ちゃんが、まるでその効果を確かめて笑っているように見えてしまう。話を変えることにした。


「そ、ういえば、幸ちゃんは、なんでこんな時期に転校して来たの?」

「ああ、ほんとはね、来年度からだったんだけど」


ころっと前の話題を手放してくれたのでほっとする。


「ゆきがわがまま言ったの。実は、日本で言う冬休み明けからあっちの学校休んじゃった。ちょっと遠回りでね、旅行しながらこっち来たの。で、2月の始めぐらいに着いてたんだけど、ちょっと休憩してから、登校することにしましたー」

「自由だなあ」

「あのね、実は学年末テストも免除なの。帰ってきたばっかだからーってことで」

「うわあ。それは素直に羨ましい……」

「和人くんそんなに成績よくないんでしょ?」


ゆうかにはまだ会っていないと言ってたから、伝聞形なのは、淳三郎さんにでも聞いたためだろうか。思わぬところで本音を聞いてしまった気がした。
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