私立秀麗華美学園
どうしていいかわからなかった。信じたくなかったことを自分で確かめてしまった。


ゆうかが姫じゃなくなる――


もしも自分が月城家に生まれていなければ。そのことを考える時にも、ゆうかと出会っていない自分を想像することができなくて、考えるのを止めていた。

できることならなかったことにしてしまいたい。でもこれはどうやら現実だ。


落ち着け、と自分に向かってとなえる。今、何をするべきか。

花嶺に連絡はできない。真理子さんからの電話で、遠まわしに連絡してくるなと言われている。
月城には。一番確かめたいのはそこだったが、今連絡したとしても親父や兄貴は仕事中だ。どこにいるかわからない。


「そうだ、稔……」


稔なら何か知っているかもしれない。家ではなく、個人的な連絡先を記した紙を探す。

けれど……稔に確かめてしまえば、終わりだ。
耐えられる自信がなかった。


雄吾がいてくれたら、と思う。いつも頼ってきたことを思い出す。

ひとりだ、と思った。ゆうかも雄吾もいない。けれどそれは本来、当たり前のことだった。

しっかりしなくちゃいけない。胸を張って立てるように。


……でも、その隣に。

ゆうかがいないのなら、何の意味もないんじゃないだろうか。


めまいを覚えて立ちすくむ。

ただ、姫の解除、という言葉を思った時、一人の人物が思い当たった。
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