私立秀麗華美学園
「で、問題は、その信頼がなくなっちまったのかどうかだろ」
「え?」
「お前なー。この間の話し合いで、何聞いてたんだよ。ちゃんと家族と向き合ったのかって」
「だって、向き合おうとしても、あっちが聞く耳持ってくれなくて」
「なんともならないことをどうにかするってのが、お前のやらなきゃいけないことなんだよ。聞く耳さえ持ってくれない原因はなんだ? それを考えないことには打開策も思いつきようがねぇだろ?
もっとも今のお前はそれを考えることすら放棄してるらしいが。
本当に大事なものを守りたい時こそ冷静になって、頭を使え。考えたくないだろうが考えろ。
考えて考えて結論として馬鹿らしい手段しか出てこなかったらそれをやれ。
とにかく、なんでもいいから、お前自身の答えを世界に対して示さなきゃ、世界は応えてくれないんだよ
……で、まあ、この場合の世界は、お前の家な」
零さんは少し照れた様子で最後の一言を付け加えた。
「……世界……」
「なんでちょっと使っちまって恥ずかしーとか思った言葉をわざわざチョイスしてくるんだよお前は」
「いや、別にそういうわけじゃないですけど……」
本当に大事なものを守りたい時こそ冷静になって頭を使え。
そうか、と思った。落ち着いて考えてみてるつもりで、俺は全然冷静じゃなかったんだ。
頭を使えてもいなかった。必要なのは全てが上手くいくような絵空事じゃなくて、ほんの少しでも事態を好転させられる現実的な行動案を考えること。
そのために、なんでもいいからとにかく、考えなければ。向こうが何を思って行動しているのか。それを変えさせるためにはどうしたらいいのか。
例えば、そうだ、さっき進が言ってたことを仮定のひとつにしたっていい。誤解やを防ぐために本人だけシャットアウト。それが本当かどうかはわからなくても、とにかくひとつずつ考え得ることを試してみるとか、できることはまだまだ残っているはずだ。
「……ごめんなさい。勝手に行き止まりだと思ってただけでした」
「一番大事な人が自分から欠けて、苦しいのはわかるけどな。他にもお前の周りにはたくさん人がいるだろ。お前はわかりやすいからどーせ心配されまくって、いろんなことを話してるだろ。
無駄にすんなよ。持ってるものを見失うな」
「はい」
零さんは立ち上がって砂をはらうと、まだちょっとだけ照れた感じのままでこっちを向いて手を振ってきた。
ぺこりと頭を下げた時、「あ」と小さな声が聞こえた。
「それと、だ。がっかりさせんな」
「がっかり?」
「那美が嫁いでいったのが、そんな家なんだと、俺に思わせたままにすんじゃねぇ」
乱暴な声で叫んで、零さんは、小走りで遠ざかっていった。
「え?」
「お前なー。この間の話し合いで、何聞いてたんだよ。ちゃんと家族と向き合ったのかって」
「だって、向き合おうとしても、あっちが聞く耳持ってくれなくて」
「なんともならないことをどうにかするってのが、お前のやらなきゃいけないことなんだよ。聞く耳さえ持ってくれない原因はなんだ? それを考えないことには打開策も思いつきようがねぇだろ?
もっとも今のお前はそれを考えることすら放棄してるらしいが。
本当に大事なものを守りたい時こそ冷静になって、頭を使え。考えたくないだろうが考えろ。
考えて考えて結論として馬鹿らしい手段しか出てこなかったらそれをやれ。
とにかく、なんでもいいから、お前自身の答えを世界に対して示さなきゃ、世界は応えてくれないんだよ
……で、まあ、この場合の世界は、お前の家な」
零さんは少し照れた様子で最後の一言を付け加えた。
「……世界……」
「なんでちょっと使っちまって恥ずかしーとか思った言葉をわざわざチョイスしてくるんだよお前は」
「いや、別にそういうわけじゃないですけど……」
本当に大事なものを守りたい時こそ冷静になって頭を使え。
そうか、と思った。落ち着いて考えてみてるつもりで、俺は全然冷静じゃなかったんだ。
頭を使えてもいなかった。必要なのは全てが上手くいくような絵空事じゃなくて、ほんの少しでも事態を好転させられる現実的な行動案を考えること。
そのために、なんでもいいからとにかく、考えなければ。向こうが何を思って行動しているのか。それを変えさせるためにはどうしたらいいのか。
例えば、そうだ、さっき進が言ってたことを仮定のひとつにしたっていい。誤解やを防ぐために本人だけシャットアウト。それが本当かどうかはわからなくても、とにかくひとつずつ考え得ることを試してみるとか、できることはまだまだ残っているはずだ。
「……ごめんなさい。勝手に行き止まりだと思ってただけでした」
「一番大事な人が自分から欠けて、苦しいのはわかるけどな。他にもお前の周りにはたくさん人がいるだろ。お前はわかりやすいからどーせ心配されまくって、いろんなことを話してるだろ。
無駄にすんなよ。持ってるものを見失うな」
「はい」
零さんは立ち上がって砂をはらうと、まだちょっとだけ照れた感じのままでこっちを向いて手を振ってきた。
ぺこりと頭を下げた時、「あ」と小さな声が聞こえた。
「それと、だ。がっかりさせんな」
「がっかり?」
「那美が嫁いでいったのが、そんな家なんだと、俺に思わせたままにすんじゃねぇ」
乱暴な声で叫んで、零さんは、小走りで遠ざかっていった。