私立秀麗華美学園
「現段階で花嶺ゆうかは笠井の手の者に拘束されている。付き人の持田真理子も一緒らしい。今のところ命の危険などはないと考えていいだろう。幸いなことに村松稔が彼女らと通じていることには気づかれていなかったため、奴らが知られたくなかった内容は広まってしまっている。
花嶺に話し合いに応じろと言ってきたらしいが、十中八九、傘下に入ることを命じてくるのだろうとこちらは踏んでいる。
共犯者にして、監視できる位置に置いておくのが相手方にとっては一番好都合だ。
……彼らのプロジェクトの内容上、花嶺ゆうか個人に興味を持たないとも限らないしな」
「……んなこと、させられるかよ」
笠井の傘下に入る。それは今回の場合、事実上の命綱を握られることに近いはずだ。笠井が元締めだというプロジェクトへも関与させられる。それを強制するための誘拐。
「花嶺家の人たちの命運を笠井なんかに左右させていいはずない。こういう時こそ、うちが盾になって、どうにか」
「しかしある意味、安全とも言えるぞ。なんてったって笠井だ。進んで傘下に入りたいって考えがあってもおかしくないぐらいだろうな。今のあの家の体質を考えれば、うちがそうだとは言わないが。たてつくよりはマシだろう」
「まさか、裏切んのかよ!」
「…………裏切る?」
容疑者を尋問する刑事のように言葉尻を捕らえると、ソファーの肘掛についていた頬杖をやめて、兄ちゃんは前のめりの姿勢になった。長めの前髪の間から、俊敏な肉食動物みたいな鋭い眼が俺を睨む。
「集団的自衛権という言葉があるな。要するに、手を繋いでいたグループの一員が攻撃されたから、そいつを守るために自分たちも戦い始めると。そういうことだと思ってるんだな?」
何か、ものすごく嫌な予感がした。
本当に真面目な話をする時この人は、ただ者ではないことをあからさまにするような威圧感を放つ。普段からは考えられない姿なのだが。時々、どちらが普段なのかを疑いたくなるぐらいに。
花嶺に話し合いに応じろと言ってきたらしいが、十中八九、傘下に入ることを命じてくるのだろうとこちらは踏んでいる。
共犯者にして、監視できる位置に置いておくのが相手方にとっては一番好都合だ。
……彼らのプロジェクトの内容上、花嶺ゆうか個人に興味を持たないとも限らないしな」
「……んなこと、させられるかよ」
笠井の傘下に入る。それは今回の場合、事実上の命綱を握られることに近いはずだ。笠井が元締めだというプロジェクトへも関与させられる。それを強制するための誘拐。
「花嶺家の人たちの命運を笠井なんかに左右させていいはずない。こういう時こそ、うちが盾になって、どうにか」
「しかしある意味、安全とも言えるぞ。なんてったって笠井だ。進んで傘下に入りたいって考えがあってもおかしくないぐらいだろうな。今のあの家の体質を考えれば、うちがそうだとは言わないが。たてつくよりはマシだろう」
「まさか、裏切んのかよ!」
「…………裏切る?」
容疑者を尋問する刑事のように言葉尻を捕らえると、ソファーの肘掛についていた頬杖をやめて、兄ちゃんは前のめりの姿勢になった。長めの前髪の間から、俊敏な肉食動物みたいな鋭い眼が俺を睨む。
「集団的自衛権という言葉があるな。要するに、手を繋いでいたグループの一員が攻撃されたから、そいつを守るために自分たちも戦い始めると。そういうことだと思ってるんだな?」
何か、ものすごく嫌な予感がした。
本当に真面目な話をする時この人は、ただ者ではないことをあからさまにするような威圧感を放つ。普段からは考えられない姿なのだが。時々、どちらが普段なのかを疑いたくなるぐらいに。