私立秀麗華美学園
「よくわかった。笠井の次男としては知ったこっちゃねえが、お前がこっちにいるってんなら月城としては都合が良い。こっちも友人として感謝するよ。
……ほら俺も言ったからな! 悔しがってる場合じゃねえよお前聞いてんのかよ」

「誰が悔しがっ「聞きたいことは山程あるがまずはプロジェクトだ。笠井が総本山になって進めてたらしい遺伝子がどうのこうのとかの例のやつ。お前はまずその存在を知ってたのか? 知ってるならどこまでだ?」


不満げに口を結んでいた進は一度目を瞑り、再び開いた時には、クラスで前に立って委員長をしていた時のように毅然とした、頼れる顔をしていた。


「保護という名目で何人かの子供の世話をして、学園に入れてたってことは知ってた。あまり関わるなって言われてたからな。知る限りでは、初等部の頃が最初だったか……考えてみりゃここしばらくは聞かされてすらいないな。
気にならないわけじゃなかったが、それ以外にも俺の知る由もない家の動向なんてのは腐る程あるからな……直近の2年は特にそうだ。たぶん俺より別の家の人間の方が、笠井当主の考えってのはよく知ってるよ」

「直近の2年? 2年前に何かあったのか?」

「情報に疎いてめーでも噂ぐらいは耳にしたんじゃねえか? 2年前、うちで正式に当主の代替わりがあったんだよ。つまり、俺のじーさんが死んで、父親が晴れてトップに立った。
じーさんは数年前から身体壊してて実権は大分前から父親だったと言われてはいたが、じーさんは死ぬまで当主だったよ。父親も逆らえてはいなかったんじゃねえか。よぼよぼで骨と皮だけになっても、威厳は衰えなかったからなあ」


父親が当主になった時から、ということは。


「俺と父親との不仲は知ってんだろ? あのクソ兄貴が可愛がられて、俺は見向きもされねえって話な。
別に複雑な事情があるわけでもない。父親も母親も同じだ。不仲の始まりはな、じーさんと父親からなんだよ。
兄貴と年子ってこともあって、俺は小さい頃母親と共にじーさんとこで世話になることが多かった。それでじーさんに目をかけられてたんだ。たぶんそっちが先なんだよ。親父がクソ兄貴を贔屓し出したのは、あてつけみたいなものだったんじゃねえか」

「つまり、次男の進に目をかける現当主、長男の雅樹に目をかける時期当主、って構図になってたってことでいいのか?」

「そういうことだな」
< 525 / 603 >

この作品をシェア

pagetop