私立秀麗華美学園
「ゆうかから手紙が来た!?」


部屋へ行くと、兄ちゃんと秘書数名、雄吾と咲がほとんど同時にやってきていた。どうやら召集をかけたのはみのるらしい。少し遅れてやってきた彼は、手に封書を持っていた。


「どういうことだ?」


険呑な面持ちで兄ちゃんがみのるに尋ねる。


「正面のロビーのカウンターに、いつの間にか置いてあったそうです。スタッフが気づいた際にたまたま私が居合わせましたので、お集まりいただきました次第です」

「…………それは、一刻も早く俺に連絡及び確認を取るべきだったように思えるが?」

「はい。そうも思いましたが、封書を確認したところ、宛名が”月城和人様”となっておりましたので」

「俺宛てに? それで、差出人がゆうかって」

「はい。花嶺ゆうか様より、月城和人様への、個人的な郵便物のようで」


兄ちゃんが封書を確かめたところ、封筒の表示はそのようになっていることで間違いないらしかった。
しっかりと封がされたそれを、困惑した表情で眺めている。


「……個人的な郵便物とは言え、今回のことにまったく関係がないとはとてもじゃないが考えられない。
消印や送付源の表示がないのも意図的なことだろう。
お前宛てのものであることは確かなようだが、責任者である以上、俺が目を通すことを遠慮するわけにはいかない。
……稔の対応も、それをふまえた上での判断と捉えるなら、糾弾する必要はない」


稔が頭を垂れて肯定の意思を見せる。本来なら兄ちゃん個人に手渡すべきものを、こうやって公とも言える形で示した。それは握りつぶされる可能性を考慮した、俺への配慮とも言えるべきものだが、逆に俺宛てであることを理由に、兄ちゃんを通さず俺に渡してしまうこともできたのだ。
それをしなかった、ことを理由に稔が糾弾されずに済むのなら。俺の答えは決定されたようなものだった。


「……わかった。先に見てもらって構わない。けど、もしその内容から俺に渡すべきじゃないって兄ちゃんが判断したとしても、どんなことが書かれてたのかだけは教えて欲しい」


わかったよ、と兄ちゃんは仕方なさそうにうなずき、もう一度視線をみのるの方に、そして雄吾と咲の方にも一瞥をくれてから、ゆうかからの手紙の封を開いた。
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