私立秀麗華美学園
「確かにメリットが多分に含まれることはわかった。
しかし、関係性のことを念頭に置くなら反現当主勢力作りも秘密裡にやらなければならない。潜在的にあるそれは現時点でも決して小さくはないだろうが……。
何より、お前のその話は、笠井進への絶対的信頼のもと成立している。聞けば、そいつとの関係自体、一年前までは最悪だったそうだが」
「おっしゃる通りです」
俺が何か言う前に、進が隣に進み出てきた。
「その関係性が変わったことについて、事細かに話すつもりはありません。完全に信用してもらえるまでには時間がかかりすぎると思います。
ですが、僕は今回のことを、仲良し同士でやる協力ごっこだとは思っていません。
ビジネスです。当主を目指してもらう、と和人は言いましたが、本来それはおかしな言い方です。僕に元々、そういう気概がなかったから。自分がトップになろうという考えさえなかったから。
そんな途方もないことのきっかけを、僕はもらうことになりました。
友人のため、ではありません。僕は自分のために、賛成できないやり方で家を動かす兄や親を蹴落として、上り詰めるつもりでやっていきます。
だから、月城さんにお願いするのは投資です。僕個人への投資として、和人の言うことに、耳を貸してもらえないでしょうか」
いつの間にか一歩前にいた進が勢いよく頭を下げた。
「ビジネスか。見通しを良くするためには適切な物言いだ。
投資の見返りのひとつが花嶺の解放……なるほどな。
思っていたより随分出来の良い案が提示された、というのが率直な感想だ」
肯定的な返答に、よけい心拍数が上がる。
平静を装うのが難しいくらいに。
「ただ、正直足りない。現実味が足りない。
本当にできるのか? と言ったところで「やる」と答えるだけだろうが、俺や親父を含めて事に当たっていくとお前は言ったし、事実それ以上の味方は必要だろう。
メリットは、ある。俺たちに。同じように考える人もいるだろう。だが、一番味方につけなければいけない存在が残っているな。
それを取り込めたなら、必要な現実味の足しにしてやろう」
「それって……」
兄ちゃんの指示で部屋の扉が開かれた。
行って来い、とあごで促される。
「花嶺淳三郎を、味方につけてこい」
しかし、関係性のことを念頭に置くなら反現当主勢力作りも秘密裡にやらなければならない。潜在的にあるそれは現時点でも決して小さくはないだろうが……。
何より、お前のその話は、笠井進への絶対的信頼のもと成立している。聞けば、そいつとの関係自体、一年前までは最悪だったそうだが」
「おっしゃる通りです」
俺が何か言う前に、進が隣に進み出てきた。
「その関係性が変わったことについて、事細かに話すつもりはありません。完全に信用してもらえるまでには時間がかかりすぎると思います。
ですが、僕は今回のことを、仲良し同士でやる協力ごっこだとは思っていません。
ビジネスです。当主を目指してもらう、と和人は言いましたが、本来それはおかしな言い方です。僕に元々、そういう気概がなかったから。自分がトップになろうという考えさえなかったから。
そんな途方もないことのきっかけを、僕はもらうことになりました。
友人のため、ではありません。僕は自分のために、賛成できないやり方で家を動かす兄や親を蹴落として、上り詰めるつもりでやっていきます。
だから、月城さんにお願いするのは投資です。僕個人への投資として、和人の言うことに、耳を貸してもらえないでしょうか」
いつの間にか一歩前にいた進が勢いよく頭を下げた。
「ビジネスか。見通しを良くするためには適切な物言いだ。
投資の見返りのひとつが花嶺の解放……なるほどな。
思っていたより随分出来の良い案が提示された、というのが率直な感想だ」
肯定的な返答に、よけい心拍数が上がる。
平静を装うのが難しいくらいに。
「ただ、正直足りない。現実味が足りない。
本当にできるのか? と言ったところで「やる」と答えるだけだろうが、俺や親父を含めて事に当たっていくとお前は言ったし、事実それ以上の味方は必要だろう。
メリットは、ある。俺たちに。同じように考える人もいるだろう。だが、一番味方につけなければいけない存在が残っているな。
それを取り込めたなら、必要な現実味の足しにしてやろう」
「それって……」
兄ちゃんの指示で部屋の扉が開かれた。
行って来い、とあごで促される。
「花嶺淳三郎を、味方につけてこい」