私立秀麗華美学園
「ちょっと待って、いつ、私が主役なんかに」

「そうに決まってるじゃないか。それで月城君は君を盗られやしないかと心配で夜も眠れないらしいね。そこで僕たちは、ある賭けをすることにしたんだ」


俺がいつお前に睡眠時間を告知したってんだ。
一方、俺の睡眠時間を把握しているゆうかは複雑な表情をしている。


「そんな……賭け、って?」

「テストの順位でなんだ。対象はもちろん君。僕が勝ったら、学園祭では……」

「テストで!? 和人とおぉ!?」


薔薇園の中心で姫が叫んだ。


「どっ、どうしてそんな先が見えている……じゃなくてえっと、意味のない勝負を」


別にいいですよフォローとか。


「それだけ月城君は君のことが大切なんだろうね」

「それで和人……今回あんなに頑張って……?」


ゆうかは1人で納得のいった顔をしている。
あいつの言い方だと俺が勝負を申し込んだみたいになってんな。断じて違います。


「そういうわけだから花嶺さんは月城君を応援してあげるといいよ。君の騎士なんだから。じゃあ、僕はこれで」


笠井はそう言って、片目をつぶって見せた。俗に言うウィンクだ。おえ。
しかし残念なことにゆうかは笠井に目もくれず、放心状態で目の前の花壇を見つめていた。


青薔薇の花壇だ。
風にそよぐ、品種改良の賜物たち。


「……ブルーローズ……」


ゆうかはゆっくりとしゃがみ込んだ。

……ブルーローズ……


「不可能よ……」


ごめんなさい。











< 62 / 603 >

この作品をシェア

pagetop