私立秀麗華美学園
「だーかーらあっ! 何回言わせるの!?」


その日一日、ゆうかは浮かない顔で……。
なんて思ったら大間違いで、放課後にはいつも通り俺を元気にしごいていた。


「ゆうか、今日……」

「ほら、咲も違うって」


だが、いつも通り、というわけでもはないような気もする。


「そろそろ、終わろう。和人の集中力の限界だ」

「さすが、わかってんなあ」

「……あらそう。いいわよ。別に。終わりなさいよ」


……何ですかその返事。態度。怖っ。

ゆうかはてきぱきと勉強道具をしまい、咲の腕を引っ張ってドアへ向かった。


「どっ、どうしたん? ゆうか、何怒ってんの?」

「誰も怒ってないわよ」


ここまで来ると手がつけられないことは百も承知。
咲は黙って俺たちに手を振って、ゆうかのされるがままだった。


「……和人」


俺たちも勉強道具をしまっていると、後ろからゆうかの声が聞こえた。


「テスト、頑張ってね」


ゆうかに命令形以外の形で話しかけられたのは何時間ぶりだろう。

ゆうかは振り返らず、咲を引きずってドアの向こうへ消えて行った。
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