私立秀麗華美学園
俺は不覚にも、突っ立ったまま身動きも取れずにいた。


「どうしたんだ?」


雄吾も同じだったらしい。


「様子が、おかしいな。何があったか、吐け」


咲と同じく、俺は首根っこつかまれ引きずられながら、俺たちのスペード寮へ戻った。





「……わざわざ、知らせたのか……」


昼休みの出来事を、雄吾に包み隠さず話した。


「それであの態度……」


雄吾は腕を組んだ。


「ゆうか、さ……」


俺にも一応、小さな仮説があった。


「どう考えても、笠井と主役を演じたいようには見えないな」

「やっぱり」


薄々考えてはいたのだが、そういった経験が明らかに欠如している俺には、自意識過剰に思えて口に出せなかったのだった。


「あの態度ではな……お前に、勝利して欲しいようにしか、見えない」


思いもしなかったゆうかの言動に驚きはしたが、もちろんもちろん嬉しい。


「俺は勝つ!」

「はいはい」

「期待、裏切るわけにはいかねえから……」


人生で何度かけられるかわからない期待だ。
今応えなくてどうするって話。

とりあえずそう思い込む!


俺はまた、心の中でそう誓いを立てるのだった。












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