私立秀麗華美学園
俺は普段どおりに待ち合わせの場所へ向かった。
ゆうかがどんな態度で俺に接してくるのか、いろいろと空想しながら。正しくは悲観しながら。


「おはよう」

「ぶっ!」


よそ見をして歩いていると、いきなり目の前に現れたのは、咲の顔だった。
まったく、雄吾といい……。
咲は一人きりだった。


「おまえ、なん……」

「ゆうか、先に行ってるて」

「え」

「用事があるとかって。ほんまかどうか、知らんけど。
でな、ちょっと頼みやねんけど、雄吾もここに呼んでくれへん? 聞きたいこと、あんねん」


ゆうかが俺と行くことを拒絶することは、そこまで珍しいことでもない。
年に何度かある恒例行事だ。

とはいえ、咲の様子もおかしい。
いつもの正直うざいぐらい高いテンションも見当たらない。


「わかった」


俺は素直に、咲との待ち合わせ場所で待っているであろう雄吾を呼びに行った。





「おはよう」

「おはよっ! 雄吾」


雄吾が来た途端、咲のテンションが心持ちあがった。
騎士の姿でテンション上げるなんて、ゆうかには一生訪れないイベントだろうな。


「何の用事だ」

「昨日、ゆうかの様子おかしかったやろ? 2人、なんか知ってる?」

「わざわざ、それで呼び出したのか?」


はたから聞けば、雄吾どんだけ咲に会いたくねえんだよって感じだろうが、雄吾はいたって普通なのである。

本当に雄吾の機嫌が悪ければ、一度に10文字以上、言葉を発しない。


「だって、ほんまにおかしかったで。ゆうか。部屋に入るなり、ベッドに直行して枕叩きだしてんで。凄い剣幕で」
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